エネルギーの種類と利用エネルギー資源はどのように分類できるのか?生産国と消費国はどのように異なるのか?
新しい単元「世界の資源・エネルギー」の第1回です。まず資源とは何かを確かめます。そのうえで、一次エネルギーと二次エネルギーの違い、エネルギー消費量の歴史的な推移、エネルギーの生産国と消費国が一致しない理由を見ていきます。
この記事でわかること
- 一次エネルギーと二次エネルギーの違いを、具体例とともに説明できる
- 産業革命からエネルギー革命までの、エネルギー利用の移り変わりを説明できる
- エネルギーの生産と消費の不均衡を、中国・アメリカ・日本などの例で説明できる
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今回から、新しい単元「世界の資源・エネルギー」に入ります。その第1回のテーマは、エネルギー資源の種類と利用です。
まず資源とは何かを確認し、そのうえでエネルギー資源の種類、利用の移り変わり、生産と消費の不均衡の順に整理していきます。
資源とは何か
この単元のタイトルにもなっている「資源」とは、そもそも何なのでしょうか。資源とは、自然界によって与えられて、人間の暮らしや生産活動に役立つもののことです。資源は、大きく次の4つに分類できます。
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| エネルギー資源 | 石油、石炭など |
| 鉱産資源 | 鉄、銅など |
| 水資源 | 雨水、地下水など |
| 生物資源 | 農作物、樹木など |
前回までの単元「世界の農林水産業」は、このうち生物資源について学んでいたともいえます。この単元では、何回かの授業に分けて、さまざまな資源を取り上げます。学ぶときの視点は、分布・生産・消費・課題の4つです。どこに分布し、どこで生産され、どこで消費されるのか、そしてどんな課題があるのかを意識していきましょう。

このレッスンでは、これらの資源のうちエネルギー資源について詳しく学びます。
エネルギー資源の種類
エネルギーはとても広い意味をもつ言葉で、光や熱、動力など、さまざまなものを含んでいます。そこで、一次エネルギーと二次エネルギーに分けて考えると理解しやすくなります。
一次エネルギー
一次エネルギーとは、自然界にそのまま存在しているエネルギーのことです。代表的なのが、石油・石炭・天然ガスといった化石燃料です。化石燃料は、地中に埋まっているものを掘り出して使います。
自然界に存在する再生可能エネルギーも、一次エネルギーに含まれます。燃料として木材を使う薪、川を流れる水を利用する水力、風の力を利用する風力などがその例です。さらに、原子力発電の燃料になるウランも、一次エネルギーにあたります。
二次エネルギー
一方、二次エネルギーとは、一次エネルギーを加工・変換して、使いやすい形にしたものをいいます。石油からつくったガソリンや、天然ガスからつくった都市ガスなどが、二次エネルギーに含まれます。
二次エネルギーの中で最も重要なものが電気です。電気は私たちの暮らしに最も身近なエネルギーですが、電気そのものが自然界にあるわけではありません。電気は、火力発電所で石油や石炭を燃やしたり、水や風の力を使ったりして発電機を回すことでつくられます。そのため、電気も二次エネルギーに分類されます。

風の力でつくった電気も、二次エネルギーなのですか?

そうだよ。風力は一次エネルギーで、それを変換してつくった電気は二次エネルギーになるんだ。
私たちは、こうして得られた二次エネルギーを使って暮らしています。調理に使う熱を得たり、家の電気をつけて光を得たり、ガソリンで車を動かして動力を得たりするのが、その例です。
薪を直接燃やして調理するなど、一次エネルギーをそのまま利用することもあります。ただし、その割合は非常に小さいものです。私たちの生活の多くは、二次エネルギーによって支えられているといえるでしょう。

エネルギー資源利用の変化
続いて、エネルギー資源の利用が、歴史的にどのような変化をたどってきたのかを確認しましょう。次のグラフは、世界全体でのエネルギー消費の変化を示したものです。時代が進むにつれて、世界全体のエネルギー消費が大きく伸びていることがわかります。

産業革命と石炭
なぜ、これほど消費が増えてきたのでしょうか。内訳の変化とあわせて考えてみましょう。1800年代の初めごろ、人間が使っていたのは、主に薪や炭などの比較的小規模なエネルギーだけでした。こうしたエネルギー資源を伝統的バイオマスといいます。
転換点になったのは、18世紀後半にイギリスで起こった産業革命です。蒸気機関が発明され、それまで人の手で行っていたさまざまな作業を、機械が担うようになりました。この蒸気機関の燃料として使われたのが石炭です。そのため産業革命以降、世界全体で石炭の需要が急増しました。

石炭は、近代の工業化を支えた重要な一次エネルギーです。同時に、今でも多くの国で重要なエネルギー資源です。

石炭は、もう昔の燃料なのですか?

いや、今も多くの国で重要なエネルギー資源なんだ。新しいエネルギーが出てきても、古いものがすぐ消えるわけではないよ。
石油の時代とエネルギー革命
20世紀に入ると、今度は石油の需要が大幅に増加しました。最大の理由は自動車の普及です。ガソリンは自動車の燃料になりました。さらに石油は、合成ゴムやプラスチックなど、さまざまな化学製品の原料にもなりました。
石炭は固体ですが、石油は液体です。そのため、タンカーやパイプラインで大量に輸送しやすいという利点もあります。こうして1960年代には、エネルギーの主役が石炭から石油へと移っていきました。この石炭から石油へのエネルギーの主役の移行を、エネルギー革命と呼びます。

近年では、風力発電や太陽光発電など、さまざまな再生可能エネルギーの普及も進んでいます。しかし、世界全体のエネルギー消費に占める割合で見ると、石炭や石油などの化石燃料が今でも大きな割合を占めていることに注意しましょう。

生産と消費の不均衡
最後に、エネルギー資源の生産と消費の不均衡について考えます。不均衡とは、生産と消費が釣り合っていないということです。これがどういうことなのか、2つの資料から確かめていきましょう。
一人当たりの消費量を比べる
まず取り上げるのは、一人当たりのエネルギー消費量を国ごとに色分けした世界地図です。国全体で使っているエネルギーではなく、あくまで一人当たりの消費量である点が大切です。色の濃い国ほど、一人当たりで使うエネルギーの量が多いことを表しています。

カナダ、アメリカ、ロシア、北欧などは、特に濃い色で塗られています。これらの国々では、工業化が進んでいることに加えて、国土が広く移動距離が長いこと、あるいは寒くて暖房に使う燃料が多いことが関係しています。
一方、中国やインドなどの色は、それほど濃くありません。中国やインドは人口が多いため、国全体で見ると非常に多くのエネルギーを使っています。しかし一人当たりの消費量で見ると、まだまだ先進国に比べて少ないのです。

なお、時間の関係上動画では触れられていませんが、ペルシア湾岸の諸国(サウジアラビア、UAE、カタール、クウェートなど)も、一人あたりエネルギー消費量は世界トップクラスに多くなっています。
これらの国々でエネルギー消費量が多い理由には、酷暑による冷房需要、海水炭化プラントでのエネルギー消費、政策的に安くエネルギー価格が抑えられていること、などが挙げられます。石油などの豊富なエネルギー資源を背景に、高温乾燥という自然環境の中で生活水準を上げた結果とも言えますね。
国全体の生産量と消費量を比べる
今度は一人当たりではなく、国全体での生産と消費を比べます。使うのは、国ごとのエネルギーの生産量と消費量を、左右に並べた棒グラフです。左側がその国のエネルギーの生産量、右側が消費量です。

例えば、いちばん上の中国は、エネルギーの生産量も消費量も世界一です。そのため、左側の生産の棒も、右側の消費の棒も大きく伸びています。中国は特に石炭が多く採れる国で、世界全体の石炭の約半分を産出しています。生産と消費の内訳を見ても、石炭の比率が大きくなっています。
ところが中国では、多くの石炭が採れるにもかかわらず、エネルギーの消費量が年々増え続け、消費量が生産量を上回っています。そのため中国は、生産量が世界一でも足りずに、他国から燃料を輸入しています。中国は、エネルギーの生産量も輸入量も世界一なのです。

続いて、2番目のアメリカです。アメリカは経済が発展していて人口も多いため、エネルギーの消費量は中国に次いで世界で2番目です。しかし、石炭・石油・天然ガスをいずれも多く産出するため、生産量が消費量を上回っています。そのためアメリカは、エネルギーの消費量が多いにもかかわらず、エネルギー資源を輸出できている国です。
その下のロシア、サウジアラビア、そしていちばん下のオーストラリアは、典型的な資源生産国です。いずれの国も、左側の生産量の棒のほうが長く、右側の消費量の棒は短くなっています。石油や石炭などのエネルギー資源が多く採れる一方で、自国ではそれほど使っていないのです。そのため、こうした国々は他国へ多くのエネルギー資源を輸出することができます。

その逆に、生産量は少ないのに消費量が多い国の典型例が日本です。グラフからも、エネルギーの消費量に対して、生産量が非常に少ないことが一目でわかります。日本は国内でエネルギー資源をほとんど産出できないため、必要なエネルギーの大部分を他国からの輸入に頼っています。

このように、エネルギーを生産する国と消費する国は一致していません。たくさんのエネルギーを生産できるのに、自国ではそれほど使っていない国があります。反対に日本のように、生産できていないのに、たくさん使っている国もあります。このような状況を、「生産と消費の不均衡」といいます。

採れる国と使う国が違うと、どうなるのですか?

余る国が輸出して、足りない国が輸入する。だからエネルギーは、国境をこえて世界中を行き来するんだ。
まとめ
最後に、このレッスンのポイントを整理しておきましょう。
- 資源とは、自然界から与えられて、人間の暮らしや生産活動に役立つもののこと
- エネルギー資源には、自然界にそのまま存在する一次エネルギーと、それを加工・変換して得られる二次エネルギーがある。二次エネルギーの代表例は電気
- エネルギー利用の歴史には、産業革命以降の石炭の消費増大、20世紀に入ってからの石油需要の増大、1960年代からのエネルギー革命という流れがある
- エネルギー資源の生産国と消費国は一致しないため、必然的にエネルギーの輸出や輸入が生じる
次のレッスンでは、エネルギー資源の中でも化石燃料を詳しく取り上げます。
この記事の内容を確認する問題に挑戦して、理解を定着させましょう。全10問・約3分
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