地図の図法(1)

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UNIT 01
さまざまな地図と地理的技能
LESSON 03

地図の図法(1)球体の地球を平らな地図にすると、何が正しく表せるのか

球体の地球を平面に移すと面積や距離をすべては保てない、という出発点から、図法の4つの種類を整理します。そのうえで、面積が正しい3つの正積図法と、中心からの距離と方位が正しい正距方位図法のつくり方と特徴、国連旗との関係を学びます。

▶ 動画 12:31

この記事でわかること

  • 球体の地球を平面の地図に表す難しさと、図法の4つの種類を説明できる
  • サンソン図法・モルワイデ図法・ホモロサイン図法(グード図法)のつくり方と違いを説明できる
  • 正距方位図法で正しく表されるものと、大圏航路・対蹠点・国連旗との関係を説明できる

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動画:地図の図法(1)

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この記事は「さまざまな地図と地理的技能」の第3回で、地図の図法がテーマです。内容が多いため、2回に分けて扱います。ここでは、球体の地球を平面の地図にするには、どのような方法があるのかを考えます。

球体の地球を平面の地図にする難しさ

地球が球体であることは、地図をつくるうえで大きな難しさになります。地球をどのように開いても、あるいは押し潰しても、地球本来の面積や距離を保ったまま紙に移すことはできません。面積や距離などのすべてを正しく紙の上に表現することは、どのような方法を使っても不可能なのです。

「地球は球体」と題したスライド。左にユーラシア大陸の東部と太平洋を中心とした地球儀の図があり、赤道が赤い線で描かれている。右に「→ 面積、距離など全てを正しく紙の上に表現することは不可能!」と書かれ、下に地図画像の出典が記されている。
丸い地球の表面を平らな紙に移そうとすると、面積や距離のどこかに必ず無理が生じる

そこで、目的に応じて、つまり正しく表現したいものに応じて、さまざまな地図のつくり方があります。このように、地球を紙の上に表現する方法のことを図法、または地図投影法と呼びます。この記事では、その図法について学んでいきます。

図法の4つの種類

図法は、正しく表せるものによって大きく4つに分けられます。面積が正しいと書いて正積図法、距離が正しいのが正距図法です。さらに、方位が正しいのが正方位図法、角度が正しいのが正角図法と呼ばれます。

「様々な図法(地図投影法)の地図」と題したスライド。「面積が正しい:正積図法」「距離が正しい:正距図法」「方位が正しい:正方位図法」「角度が正しい:正角図法」の4行が並び、図法の名前が赤字で書かれている。上の3行が右側の括弧でくくられている。
括弧でくくられた上の3つのうち、この記事では正積図法と、距離と方位が正しい正距方位図法を扱う

それぞれの図法の中には、さらに細かい分類があります。この記事で扱うのは、このうち面積・距離・方位が正しい図法で、具体的には面積が正しい正積図法と、距離と方位が正しい正距方位図法です。角度が正しい正角図法については、次回の記事で紹介します。

面積が正しい正積図法

まずは、面積が正しい正積図法から考えます。面積が正しい世界地図は、どうすればつくれるでしょうか。球体である地球の面積を、正しく紙の上に表す方法を考えてみましょう。

みかんの皮のように北極と南極から剥ぐ

次のようなイメージで考えます。まず、地球をみかんの皮を剥くように、北極と南極から細長く剥いでいきます。すると、先のとがった細長い紙片が横に並んだような地図ができあがります。

「『面積』が正しい世界地図をどう作る?」と題したスライド。左に地球儀、右に北極と南極で先がとがった細長い紙片を横に並べた世界地図があり、地球儀から地図へ赤い矢印が引かれている。地図の上端と下端には、紙片の先を真ん中へ寄せる向きの赤い矢印が書き込まれている。
上下の矢印のように紙片の先を真ん中へ寄せると、切れ込みのない1枚の地図に近づく

こうしてできた地図には切れ込みが入っていますが、紙の上での面積は、もとの球体の面積と等しくなっています。ただ、切れ込みがあると見づらいので、上下の部分を真ん中の方へ寄せるように曲げます。こうすれば面積の正しい地図がつくれるのではないか、というのが、次のサンソン図法の考え方です。

サンソン図法

このような考え方から考案されたのが、正積図法の1つ目のサンソン図法です。先ほどの、地球を剥いてできた船底や葉っぱのような形の紙片が並んだ地図を思い出してください。その上下を真ん中の方へぎゅっと寄せるイメージでつくるため、サンソン図法の地図は図のような形になります。

「『面積』が正しい正積図法 その1」「サンソン図法」と題したスライド。上下の端がとがり、左右に広がった紡錘形の世界地図で、経線は曲線、緯線は水平な直線になっている。北の高緯度と南極付近が赤い楕円で囲まれ、左上には紙片を寄せるイメージの手書きがある。
赤で囲んだ高緯度では、経線が大きく傾き、大陸の形がゆがんで見える

ただし、サンソン図法は面積こそ正しく描けているものの、欠点があります。高緯度になるほど、実際の大陸の形と地図上での大陸の形との歪みが大きくなってしまうのです。この高緯度で歪みが生じるという欠点を直そうとしてつくられたのが、次に紹介する地図です。

モルワイデ図法

正積図法の2つ目は、モルワイデ図法と呼ばれる図法です。先ほどのサンソン図法と比べて優れているのは、高緯度付近の描き方です。

「『面積』が正しい正積図法 その2」「モルワイデ図法」と題したスライド。左右の端が丸い楕円形の世界地図で、北の高緯度と南極付近がピンクの線で囲まれている。
ピンクで囲んだ高緯度の大陸は、サンソン図法の地図より形の歪みが小さい

モルワイデ図法では、高緯度付近をサンソン図法とは少し違った方法で加工しています。そのため、地図の両端が丸くなるのが特徴です。その結果、サンソン図法に比べて実際の大陸の形との歪みが少ないという利点があります。

どちらも面積は正しいのに、地図の形がずいぶん違うのですね。

Kiri
Kiri

面積を保つやり方は一つではないんだ。高緯度の大陸の形に注目して、2枚を見比べてみて。

ホモロサイン図法(グード図法)

正積図法の3つ目は、サンソン図法とモルワイデ図法を組み合わせたホモロサイン図法で、別名をグード図法といいます。この図法には、なぜ名前が2つあるのでしょうか。グードというのは、この図法を考案した人の名前です。

一方、ホモロサインの「ホモロ」は面積が等しいという意味で、正積図法であることを示しています。「サイン」については覚える必要はありませんが、サンソン図法の曲線にちなんでいます。サンソン図法の地図の曲線は、その曲がり具合がサインカーブになるように計算してつくられています。つまり、正積図法であり、サインカーブを利用してつくった図法という意味の名前です。なお、ホモロサイン図法とグード図法は、どちらの名前で答えてもかまいません。

この図法は、次のようにつくられています。まず、低緯度付近はサンソン図法で描かれています。高緯度付近には、高緯度の歪みが少ないという特徴をもつモルワイデ図法を使います。さらに歪みを少なくするために、海の部分を切り裂いてつくったのが、このホモロサイン図法(グード図法)です。

「『面積』が正しい正積図法 その3」「ホモロサイン図法(グード図法)」と題したスライド。海の部分で大きく切れ込みが入った世界地図で、北の高緯度と南の高緯度、赤道をはさむ低緯度がそれぞれ赤い線で囲まれ、北の高緯度に「モルワイデ」、低緯度に「サンソン」と赤で手書きされている。
低緯度はサンソン図法、高緯度はモルワイデ図法と、緯度によって描き方を切り替えている

距離と方位が正しい正距方位図法

続いては、距離と方位が正しい世界地図です。ここでいう方位とは、東や西といった方角のことです。この2つが正しい世界地図は、どうすればつくれるでしょうか。

みかんのヘタを中心に皮を剥く

今度は、次のように考えてみましょう。正積図法では、地球を北極と南極からみかんの皮のように剥いていきました。今回はそうではなく、みかんのヘタを押さえるように地球のどこか1か所を押さえ、反対側から皮を剥いていきます。

すると、ヘタを中心にみかんの皮をすべて剥いたような形の世界地図ができます。この形なら、真ん中のヘタにあたる地点から地球の裏側までの距離も、方位も正しく描けます。

とはいえ、みかんの皮を剥いたままの形では、地図として使いものになりません。そこで、皮と皮の隙間に向かって外側ほど大きく伸ばし、隙間をなくしていきます。こうしてできた円形の地図は、距離と方位が正しいので正距方位図法と呼ばれます。

「『距離』と『方位』が正しい世界地図をどう作る?」と題したスライド。左は1点を中心に細長い紙片を花びらのように放射状に開いた世界地図で、中心が赤丸で囲まれ、紙片の間の隙間を広げる赤い矢印が書き込まれている。右は隙間をなくして円形にした世界地図で、左の図から右の図へ赤い矢印が引かれている。
左の地図の隙間を埋めると右の円形の地図になり、中心から離れた外側ほど大きく引き伸ばされる

中心からの距離と方位が正しい

正距方位図法は、地図の中心からの距離と方位が正しく表される地図です。東京を中心とする正距方位図法の地図で、その特徴を確かめていきます。

「正距方位図法」と題したスライド。左に東京を中心とした円形の世界地図があり、中心から上下と右への赤い矢印、円周をなぞる赤い線、中心と円周の間に「2万km」の手書きがある。右に「地図の中心からの『距離』『方位』が正しい」「大圏航路が直線」「地図の円周は地球の裏側(対蹠点)」の3項目が並ぶ。
3つの特徴は、いずれも地図の中心(ここでは東京)が基準で、中心から円周まではおよそ2万km

ここで注意したいのは、距離と方位が正しいのは地図の中心からだけだという点です。たとえば、地図上で中心以外の2地点を選んで結んでも、その間の距離は正しくありません。この地図であれば、東京から別のどの地点までも、距離と方位が正しく表されます。方位でいえば、地図上で東京から真上の方向が北、真下の方向が南にあたります。

中心以外の2地点の距離は、この地図では測れないのですね。

Kiri
Kiri

そうなんだ。「中心に立つ自分から見た距離と方位」と覚えておくと、取り違えにくいよ。

大圏航路が直線になる

正距方位図法の特徴の2つ目は、大圏航路の表れ方です。飛行機でまっすぐ飛んだときに最短経路となる道筋を、大圏航路と呼びます。正距方位図法では、地図の中心からの大圏航路が直線で表されます。

地図の円周は地球の裏側

3つ目の特徴は、地図の円周です。円周とは地図のいちばん外側の円のことで、そのすべてが同じ1つの地点を表しています。ここで、もう一度みかんのイメージを思い出してください。皮のいちばん外側は、ちょうどみかんの裏側にあたる部分でした。

その裏側を引き伸ばしたために、地図の円周になりました。つまり、円周はどこも同じ1つの地点で、そこが地球の裏側です。このような地球の裏側の点のことを、対蹠点と呼びます。

したがって、中心の東京から地球の裏側までは、地球を半周した距離です。この正距方位図法の地図では、中心から円周までがおよそ2万kmに当たります。

国連旗に使われている正距方位図法

正距方位図法は、中心をどこに置くか、つまりみかんのヘタをどこで押さえるかによって、さまざまな種類の地図を描けます。実は、国際連合の旗である国連旗には、北極を中心とした正距方位図法が使われています。この北極点を中心にした地図の一部を切り取ったものが、国連旗の図柄になっているのです。

「国連旗は北極中心の正距方位図法」と題したスライド。左に北極点を中心とした円形の世界地図、右に青地に白で世界地図とオリーブの枝を描いた国連旗が並ぶ。左の地図から旗の図柄へ赤い線が引かれ、旗の図柄が紫の線で囲まれている。
国連旗の白い図柄も、左の地図と同じく北極点が中心になっている

私たちが普段見慣れている地図では、どの国が上でどの国が下かという配置が生まれます。また、場所によっては実際と違った大きさで描かれてしまうこともあります。北極中心の正距方位図法で描くと、国連ができた当時のアメリカとソ連が、ちょうど左右に同じくらいの大きさで並びます。

そして、上には海があるだけなので、どの国が偉いといった意味も生じません。こうした理由から、平和の象徴である国連旗には正距方位図法が使われることになりました。

見慣れた国連旗に、そんな工夫が込められていたとは知りませんでした。

Kiri
Kiri

身の回りの地図や旗がどんな図法で描かれているか、気にして見てみると面白いよ。

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