【高校地理】日本の気候(天気と気団) | 世界の気候【授業動画】

はい、皆さんこんにちは。高校地理の授業動画、「世界の気候」第14回は「日本の気候(天気と気団)」です。

「日本の気候にはどんな特徴があるの?」
ということで、ここまで世界全体の気候を学んできましたが、今回は、日本の気候的特徴について勉強していきましょう。

なお、「日本の地形」については気候ではなく地形の単元でアップしているので、併せてご覧ください。

ではいきましょう。動画は大きく前半と後半、

1 日本の季節と気団
2 日本の気候区分

という構成で解説します。
2 日本の季節と気団

先ずは、日本の季節と気団から。

日本の天気は、季節によって雨が続いたり晴れが続いたりと大きく変化しますが、これには気団というものが大きく影響しています。気団というのは、気温や湿度などの性質が似ている大きな空気の塊のことです。そして、日本への影響が特に大きな気団として、シベリア気団、オホーツク海気団、揚子江気団、小笠原気団という4つがあります。

北側の2つ、シベリア気団とオホーツク海気団は緯度が高いので冷たくて、南側の2つ、揚子江気団と小笠原気団は暖かい空気の塊です。

また、海側の2つ、オホーツク海気団と小笠原気団は海からの水蒸気を含むので湿っていて、陸側の2つ、シベリア気団と揚子江気団は乾燥した空気となっています。

これら4つの気団が、季節によってどのように天気に影響するのか見ていきましょう。

先ずは冬。冬には海よりも陸地の方が冷えやすいため、特に広大な陸地が広がるユーラシア大陸東部では、気温が大きく下がり、世界で最も寒い場所の一つとなります。空気は冷たく縮んで密度が大きくなり、重たくなった空気が地表付近に溜まる高気圧帯が形成されます。こうして、冬に大陸で形成される高気圧帯が、シベリア気団と呼ばれます。

一方で、相対的にあたたかい海では上昇気流が生じるため、太平洋には低気圧帯が生じます。そのため、冬の典型的な気圧配置は、西側が高気圧、東側が低気圧の「西高東低」となります。空気は気圧の高い場所から低い場所に向かって流れるため、冬の日本には、大陸からの寒〜い季節風が吹いてきます。

さらに、日本は南からの暖流と、北からの寒流がちょうどぶつかる位置にあります。南からの暖流は、対馬海流と黒潮(日本海流)、北からの暖流は、リマン海流と親潮(千島海流)と呼ばれます。

大陸からの季節風は冷たく乾燥しているのですが、日本海を流れる暖流の上を通過するときに、海から水蒸気が大量に供給されて湿った風となります。この風が、日本の山脈にぶつかって強制的に上昇気流となることで、雪雲を作り、日本海側に大量の雪を降らせます。反対に太平洋側では、雪が降って水分の搾り取られた乾燥した風が吹き下ろしてくるために、冬が乾燥して晴れの日が続きます。関東地方ではこの乾燥した冬の風のことを「空っ風」と呼びます。

シベリア気団の影響によって、日本海側は雪、太平洋側は晴れ。
これが冬の気団と天気です。

こちらは1月の雲の流れを表していますが、北西から南東方向に、季節風の流れに沿って、雲が筋状に発達しているのが分かります。こういう形の雲を見たら、冬のものなんだ、と判定しましょう。

続いて春。3月から5月頃になると、気温が上がってシベリア気団の影響が弱まるとともに、南の方では、中緯度高圧帯の影響などによって、中国の南側、揚子江、別名長江のあたりに、暖かくて乾燥した高気圧帯が形成されます。これが、揚子江気団です。
そして、中緯度高圧帯からは偏西風が吹き出していますが、実はこの偏西風というのは、グニャグニャ蛇行しながら吹いているという特徴があります。このグニャグニャによって揚子江気団から切り取られるようにして、日本にはいくつもの小さな高気圧が、数日おきにやってきます。このように、偏西風に乗って移動する高気圧を、「移動性高気圧」と呼びます。

こちら、日本上空の春の雲の動きを表したものですが、西から東へ偏西風がグニャグニャと雲を運んでいるのが見えるでしょうか。この流れに乗って、移動性高気圧が日本にやってきます。

そして、高気圧に覆われるときには天気が良くなるので、日本の春は、天気が良くなったり雨が降ったり、寒くなったり暖かくなったりを繰り返す、「三寒四温」と呼ばれる季節が、日本の春の特徴です。

6月頃になると、偏西風はさらに北上します。すると、ヒマラヤ山脈によって二手に分かれるのですが、それがもう一度合流する場所が、ちょうど北海道の北東、オホーツク海付近となります。空気がぶつかることでオホーツク海に形成される高気圧帯、これがオホーツク海気団です。

一方で南の方では、中緯度高圧帯によって太平洋上に形成された高気圧帯が、日本の近くまでやってきます。この高気圧帯が、小笠原気団です。なので、小笠原気団はイコール中緯度高圧帯と考えて構いません。

北にはオホーツク海気団の冷たい高気圧、南には小笠原気団の蒸し暑い高気圧があり、南北からの空気が日本でぶつかります。こうして日本には、梅雨前線と呼ばれる前線が形成され、雨が降り続く梅雨の季節となります。

やがて夏になると、中緯度高圧帯はさらに北上し、小笠原気団がオホーツク海気団を日本の北側に押し出すと梅雨明けとなり、晴れの日が続く本格的な夏がやってきます。
夏には、冬とは逆に南東から海から大陸に向かって季節風が吹くため、湿度が高く蒸し暑い日々が続きます。

これが通常の年の話なのですが、何らかの理由で小笠原気団が十分に発達しないと、夏になっても東北地方が冷たいオホーツク海気団に覆われることがあります。すると、東北地方が夏の気温が十分に上がらず、稲が不作となる「冷害」が起こります。そして、冷害をもたらすオホーツク海気団からの冷たい風は、「やませ」と呼ばれます。

さて、夏が過ぎて秋になると、中緯度高圧帯が南下して小笠原気団が弱っていき、再びオホーツク海気団との間に前線が形成されます。この前線は秋雨前線と呼ばれ、梅雨のように雨が長引くこともあります。

また、秋のもう一つの特徴は台風が来やすいことです。台風そのものは、秋に限らず一年中南の海で発生しているのですが、秋になって中緯度高圧帯、つまり小笠原気団が南下すると、貿易風と偏西風によって、台風をちょうど日本にぶつかるようなコースに曲げる力が働きます。このため、9月頃には台風が日本に来やすくなります。大量の雨による河川の氾濫や、土砂災害が起こる危険性が高い季節でもあります。

まとめると、日本の周りの4つの気団というのは、全て高気圧です。
これらの勢力が、季節によって順番に大きくなったり小さくなったりするために、日本は季節によって天気が変わるという特徴が生まれます。

2 日本の気候区分

後半は、日本の気候区分です。
季節ごとの変化に続いて、日本の気候の地域ごとの違いを見ていきましょう。

日本全体の平均降水量は、1年間に約1500mm。これは世界平均の約2倍にあたります。例えば、ニューヨークの年降水量は約1,100mm、ロンドンの年降水量は約600mmしかありません。

そのため、日本をケッペンの気候区分であらわすと、北海道がDf、亜寒帯湿潤気候で、北海道以外はCfa、温暖湿潤気候という2つに分けられて、どちらも、湿潤を表すfがつきます。

とは言え、ケッペンの気候区分は世界全体の気候を分類するためのものなので、日本国内のような小さな地域の気候を分類するには不向きです。

日本の気候にはいろいろな分類方法があるのですが、ここでは6つに分類する方法を紹介します。

1つ目は、北海道型。亜寒帯に属する北海道の気候で、冬の寒さは厳しく、夏も涼しい気候です。例として札幌の雨温図を見てみましょう。最寒月平均気温は、亜寒帯の条件であるマイナス3度を下回っており、夏の平均気温も、20度を少し超えるくらいです。梅雨や台風の影響も受けないため、年間を通して、降水量に大きな変化はありません。

2つ目は、南西諸島型。北海道とは反対に、冬でも暖かい沖縄の気候です。那覇の雨温図を見てみると、最寒月平均気温は18℃をギリギリ下回っているのでケッペンの気候区分だと温帯のC気候になるのですが、もうほとんど熱帯ということで、亜熱帯とも呼ばれる気候です。梅雨や台風の影響も受けやすいので、5〜9月の降水量が多くなっているのも特徴です。

両極端の北海道沖縄に続いて、今度はその間を4つに分けていきます。

先ずは日本海型。シベリア気団から吹いてくる冬の季節風の影響で、冬の降水量が非常に多いのが特徴です。例として新潟県上越市の雨温図を見ると、12月〜1月の降水量が400mmを超えています。降水量の1mmは、雪になると1cmに相当すると言われているので、平均で1ヶ月で400cm、4m分という雪が降る世界有数の豪雪地帯です。

雪のための様々な工夫が見られる地域で、例えば雪が積もらないように信号機が縦型になっていたり、道路からは雪を溶かす水が出るようになっていたりします。
世界遺産の白川郷で見られる合掌造りの屋根は、雪が積もらないための工夫の一つです。

その反対側の気候は、太平洋型と呼ばれます。例としては東京です。冬には空っ風で乾燥する一方で、6月頃には梅雨の影響で、9月頃には台風の影響で雨が多くなり、降水量の年較差が大きな気候となります。

余談ですが、私は出身地が新潟なのですが、冬には雪がすごく多い地域で、太陽が出ることは滅多にありませんでした。家の中の湿気がすごくて、冬には部屋に除湿器をつけてたんですね。それが、今住んでる群馬に来てからは冬が毎日晴れてて、除湿機どころか加湿器をつけることに、最初はびっくりしました。そのくらい、冬の気候は日本海側と太平洋側で異なります。

さて話を戻して、これらの日本海型と太平洋型の間に挟まれる内陸の気候は、中央高地型と呼ばれます。代表例は長野県で、海から遠いために気温の年較差が大きく、年降水量が比較的少ないという特徴があります。

最後は、瀬戸内型と呼ばれる瀬戸内海周辺の気候です。ここは、北側の中国山地、南側の四国山地に囲まれる地域で、北からも南からも季節風が入ってこない地域です。そのため、年間を通して降水量が少ないことが特徴です。降水量だけ見ると中央高地型と似ていますが、長野と違って標高が低く、南側に位置しているため、気温は全体的に高いという違いがあります。

瀬戸内海周辺は特に夏に水不足になることが多い地域なのですが、どんな対応をしているのかGoogle Earthで見に行ってみましょう。香川県の平地を見ると、あちこちに池が見えますが、これは灌漑用のため池です。瀬戸内地域では、農業用水の確保のために古くから溜池が作られていました。また、夏に大量の水が必要な稲作ではなく、畑作が主に行われてきました。愛媛県の段々畑ではみかんの生産が有名ですが、これには、夏に水に恵まれない気候であるという地理的な背景もあるんですね。

以上、日本の気候を、北海道型、南西諸島型、日本海型、太平洋型、中央高地型、瀬戸内型という6つに分けて見てきました。

ナントカ型という名前を覚える必要は無いので、それよりも、地域ごとの気候の特徴を理解することで、雨温図を見た時に「あ、これはこういう地域の雨温図のはずだな」って推測できるようになることを目指しましょう。

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