大地形の区分(3)(安定陸塊)

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UNIT 02
世界の地形
LESSON 06

大地形の区分(3)(安定陸塊)安定陸塊に見られる地形と資源について

世界の陸地は、造山運動が起こった時期によって3つに区分されます。このうち、今回の記事ではいちばん古い安定陸塊を解説します。楯状地と卓状地の違い、主な分布、残丘・メサ・ビュート・ケスタといった地形、鉄鉱石がとれる理由を見ていきます。

▶ 動画 10:38

この記事でわかること

  • 安定陸塊がどのような場所かを、楯状地と卓状地の違いとあわせて説明できる
  • 残丘(モナドノック)・メサ・ビュート・ケスタが、どこにどうしてできるのかを説明できる
  • 安定陸塊で鉄鉱石が多くとれる理由を、先カンブリア時代の海で起きたことから説明できる

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動画:大地形の区分(3)(安定陸塊)

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大地形の区分の3回目は、いちばん古い安定陸塊を取り上げます。

安定陸塊とはどのような場所なのか、世界のどこに分布するのか、どんな地形が見られ、どんな資源がとれるのか。この記事では、この順に整理していきます。

前回までの復習:大地形は造山運動の時期で3つに分かれる

世界の陸地は、造山運動が起こった時期によって、安定陸塊・古期造山帯・新期造山帯の3つに区分されました。この3区分は、形成時期・分布・とれる資源という3つの観点から整理できます。

地質時代の年表に、安定陸塊・古期造山帯・新期造山帯がそれぞれ造山運動を受けた時期を赤い波線で示した表。左下に〈整理ポイント〉①形成時期 ②分布 ③とれる資源の囲みがあり、各区分に今回動画・前回動画・前々回動画の注記が付く。
3本の赤い波線が始まる位置に注目。安定陸塊の波線だけが先カンブリア時代から始まっている

このうち新しい2つ、新期造山帯と古期造山帯は、前々回と前回のレッスンで解説しました。今回のテーマは、3つの中でいちばん古い安定陸塊です。

安定陸塊とは何か

はるか昔の先カンブリア時代に造山運動を受けて以来、一度も造山運動を受けていない場所があります。地震や火山なども少ないことから、安定した陸の塊と書いて安定陸塊といいます。

安定陸塊は、さらに2種類に分類されます。1つ目が楯状地、もう1つが卓状地です。この2つを分けるのは、表面に出ている地層の違いです。

安定陸塊の分類を示した手描きの断面図。左半分は先カンブリア時代の地層がむき出しの楯状地で、上面が準平原。右半分は同じ地層の上に古生代以降の地層が水平に重なった卓状地で、上面が構造平野。下に両者の違いを書いた囲みが2つ付く。
右半分にだけ、土台の上に別の色の地層が乗っている。この重なりの有無が、楯状地と卓状地を分ける

楯状地と卓状地は何が違うのか

ここからは、楯状地と卓状地をそれぞれ詳しく見ていきます。

楯状地と準平原

楯状地は、侵食が進んで平坦になり、先カンブリア時代の地層が露出している地形です。楯とは、RPGなどのゲームに出てくる剣と楯の楯、つまりシールドのことです。この地形を横から見ると、その楯を地面に伏せたような形に見えることから、楯状地と呼ばれます。

そして、楯状地の上に広がる平たんな土地を、準平原といいます。準平原とは、平地のうち、侵食が進んだ結果形成された平地を指します。

卓状地と構造平野

一方、卓状地は、楯状地の周辺に広がることが多い地形です。先カンブリア時代の岩盤を土台として、その上に古生代以降の地層が積み重なっています。

地層が積み重なると言っても、雪のように上から新しい土が降ってくるわけではありません。

土台となる土地が先カンブリア時代に形成されたあと、地面全体が緩やかに沈降したり、地球の気候の変化によって海水面が上昇したりして、土台の部分が海や湖の底に沈み、一時的に海底になることがあります。

海底となった先カンブリア時代の地層の上には土砂がたまり、新しい地層が形成されます。そしてまた海面が下がるなどして陸地に戻ると、そこに卓状地ができあがります。地層がほぼ水平に積み重なり、全体としてテーブルのような形に見えることから、卓状地と呼ばれます。

卓状地の上に広がる平地を、構造平野といいます。紛らわしい部分であり、高校地理においては、楯状地の上に広がる平地が準平原、卓状地の上に広がる平地が構造平野と考えると分かりやすいでしょう。

表面に出ている地層の年代で区別する

楯状地と卓状地は、どちらも先カンブリア時代に土台ができたものです。表面に出ている地層が先カンブリア時代のものか、古生代以降のものかという点で区別されます。

紛らわしい用語が多くて、違いがよく分かりません。

Kiri
Kiri

楯状地と卓状地は形状に着目した分類で、準平原と構造平野は形成過程に着目した分類だから、厳密には異なることもある。けれど、先ほど説明したように高校地理では「楯状地の上に広がる平地が準平原、卓状地の上に広がる平地が構造平野」と考えて問題ありません。

安定陸塊の分布とゴンドワナ大陸

代表的な安定陸塊として、9か所を挙げます。おおよその分布をイメージできるように、図の囲みは大まかな形で示しています。

世界地図に代表的な安定陸塊9か所を赤い枠で囲んで番号を振り、右に①カナダ楯状地 ②ブラジル楯状地 ③アフリカ楯状地 ④アラブ楯状地 ⑤バルト楯状地 ⑥オーストラリア楯状地 ⑦シベリア卓状地 ⑧ロシア卓状地 ⑨中国陸塊の凡例を並べた図。中央の太平洋上に、ローラシア大陸とゴンドワナ大陸の手描きの復元図が書き加えられている。
赤い枠はどれも大陸の内側に寄っている。中央の復元図と見比べると、南半球の枠がかつてひとつづきだったことが読み取れる

南米大陸・アフリカ・アラビア半島・インド・オーストラリアは、かつて一つの巨大な大陸としてつながっていました。この巨大な大陸をゴンドワナ大陸と呼びました。数億年前から存在していた大陸なので、その内側は地震や火山のほとんどない安定した場所だと考えると覚えやすいでしょう。

安定陸塊に見られる特徴的な地形

さらに安定陸塊では、特徴的な地形が見られる場合があります。こうした地形は、どのようにしてできるのでしょうか。

楯状地に残る残丘(モナドノック)

まずは、オーストラリアのエアーズロックを取り上げます。これは楯状地に見られる地形です。

楯状地は、長い侵食を受けて先カンブリア時代の地層がむき出しになった平地でした。その侵食の途中で固い岩の部分があると、そこだけが削り残され、まわりより高く飛び出した地形になることがあります。このような地形を残丘(モナドノック)といいます。

楯状地と卓状地の断面図の楯状地側に、侵食に取り残されて突き出た濃い色の岩体が描かれ、「残丘(モナドノック)」のラベルが付いた図。左上にエアーズロック、右上にモニュメントバレーの写真が並ぶ。
左側の平らな面から、濃い色の岩体が1つだけ頭を出している。まわりが削られても残った固い部分が残丘

オーストラリアには「オーストラリア楯状地」という安定陸塊が分布します。エアーズロックは、このオーストラリア楯状地に形成された世界最大級の残丘の一例です。

構造平野に残るメサとビュート

続いて、アメリカのモニュメントバレーで見られるような地形です。これは構造平野で見られる地形にあたります。

構造平野は、先カンブリア時代の土台の上に、いくつかの地層が重なって形成されていました。この地層はすべてが同じ硬さではなく、硬い地層と軟らかい地層があります。

ある場所では硬い層で侵食が止まり、その周りでは次の硬い層で侵食が止まる、という場合があります。こうした場合に、テーブルのような形で地形が残ることがあります。これをメサといい、さらに細くなって棒のように残っているものをビュートといいます。メサやビュートは、アメリカの乾燥地帯などでよく見られます。

同じ断面図の卓状地側に、平らな頂をもつ「メサ」と細い柱状の「ビュート」が描き足され、右端に古生代以降の地層・軟らかい地層・硬い地層・先カンブリア時代の地層の4つのラベルが並ぶ図。
卓状地側の2つを見比べる。平らな頂をもつテーブル状がメサ、それが細くなって柱状に残ったものがビュート

構造平野の最重要地形、ケスタ

構造平野の最重要地形といってもよいのが、ケスタです。

選択侵食が非対称な地形をつくる

ケスタができる場所では、硬い地層と軟らかい地層が重なる構造をしています。

硬い地層を茶色、軟らかい地層をオレンジ色で描き、水平に交互に重なったようすを表した手描きの模式図。右側に「硬い地層」「軟らかい地層」のラベルが付く。
まだ水平に重なっている段階。この重なりが傾くところから、ケスタの話が始まる

この重なりが地殻変動によって緩やかに傾斜すると、軟らかい地層から先に削られていきます。これを選択侵食(差別侵食)といいます。

選択侵食が起こると、片方は急な崖、もう一方は緩やかな斜面が続くという、傾斜が非対称な地形が形成されます。こうして形成されるのがケスタです。

硬い地層と軟らかい地層の重なりが緩やかに傾斜し、軟らかい層が先に削られて段差ができたようすを描いた図。「選択侵食(差別侵食)」「急崖」「緩斜面」のラベルと、右上に「例:パリ盆地(フランス)/五大湖周辺 など」の注記が付く。
赤で囲まれた急崖と、緑で囲まれた緩斜面。段の左右で傾きが違うことが、ケスタの非対称さ

ケスタが見られる場所

ケスタでいちばん有名なのは、フランスのパリ盆地です。急な斜面の部分がブドウ畑に利用され、フランスのワイン生産を支えています。

パリ盆地周辺の衛星画像。パリの東側に、ケスタの崖が弧を描いて連なる部分が赤い線で囲まれている。左端と右端にはGoogle Earthの操作アイコンが写り込んでいる。
赤い弧が何重にも並んでいる。ケスタの崖は直線ではなく、盆地を取り巻くように弧状に続く

ほかにも、ロンドン盆地や五大湖周辺で見られます。有名なナイアガラの滝は、この急な崖の部分を水が流れ落ちる場所にあたります。

地形の話からワインが出てくるとは思いませんでした。

Kiri
Kiri

地形と産業がつながる好例ですね。地形が産業や暮らしが結びついている例は、これからたくさん登場しますよ!

安定陸塊に見られる特徴的な地形は、残丘、メサとビュート、そしてケスタの4つです。この4つを押さえておきましょう。

安定陸塊でとれる資源は鉄鉱石

新期造山帯でとれる資源は石油、古期造山帯でとれる資源は石炭でした。

そして、安定陸塊でとれる資源は鉄鉱石です。

鉄鉱石のとれる主な鉱山を世界地図に示すと、安定陸塊と分布が重なる場所が多いことが見て取れます。

世界地図に主な鉄鉱山を黒い三角で示し、カナダ楯状地・ブラジル楯状地・オーストラリア楯状地・中国陸塊を赤いハッチで囲んだ図。見出しは「安定陸塊でとれる資源⇒鉄鉱石」。
赤いハッチの中に黒い三角が集まっている。鉄鉱山の分布は、安定陸塊の分布と重なる

なぜ安定陸塊で鉄鉱石が多く産出するのか

では、なぜ安定陸塊で鉄鉱石が多く産出するのでしょうか。これも古期造山帯の石炭と同じように、当時の地球の様子と関係があります。

安定陸塊は、先カンブリア時代に形成された地質でした。この頃、生命はまだ海の中にしか存在していません。地球では海の中で最初の生命が生まれ、そして海の中で光合成が始まって酸素が作られました。

光合成によって生じた酸素は、まず海の中に溶けている物質と結合します。当時の海の中には大量の鉄イオンが存在していて、これが酸素と結びついて酸化鉄となり、固体として海の底に堆積していきました。これが、鉄鉱石のもとになります。

こうして、先カンブリア時代には大量の鉄鉱石が海の底に作られました。

地質時代の年表の先カンブリア時代を赤く囲み、そこから矢印で「光合成が海で始まる」「酸素が鉄イオンと結合」「鉄鉱石が形成」の3つの海中の模式図を左から順に並べた図。
下の3枚を左から右へ追う。海で生まれた酸素が鉄イオンと結びつき、酸化鉄が海底にたまって鉄鉱石になる

そのため、当時の地層が見られる安定陸塊では、鉄鉱石がよくとれる場所が見つかるのです。

海の中で起きたことが、今の鉱山につながっているのですね。

Kiri
Kiri

だから、当時の地層がむき出しになっている安定陸塊では、少し掘るだけで鉄鉱石が産出しやすくなっているんだ。

まとめ

安定陸塊も、形成時期・分布・とれる資源の3つの観点で整理できます。

観点 安定陸塊
造山運動を受けた時期 先カンブリア時代。それ以降は造山運動を受けていない
分類 先カンブリア時代の地層が露出した楯状地(上に広がる平地が準平原)と、先カンブリア時代の土台の上に古生代以降の地層が重なった卓状地(上に広がる平地が構造平野)
分布 代表的な場所は9か所。南米大陸からアフリカ、アラビア半島、インド、オーストラリアにかけては、かつてゴンドワナ大陸という一つの巨大な大陸だった
見られる地形 残丘(モナドノック)、メサ、ビュート、ケスタの4つ
とれる資源 鉄鉱石。先カンブリア時代の海で、酸素と鉄イオンが結びついてできた
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