大地形の区分(1)(新期造山帯)

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UNIT 02
世界の地形
LESSON 04

大地形の区分(1)(新期造山帯)山ができた時期で、世界の大地形は3つに分かれる

世界の陸地は、造山運動を受けた時期によって3つに区分されます。今回の記事では、その中で最も新しい時期に形成された「新期造山帯」について、詳しく解説します。

▶ 動画 8:49

この記事でわかること

  • 世界の陸地が、造山運動を受けた時期によって安定陸塊・古期造山帯・新期造山帯に区分されることを説明できる
  • 新期造山帯が環太平洋造山帯とアルプス・ヒマラヤ造山帯に分かれ、狭まる境界と重なることを説明できる
  • 新期造山帯で石油が採れやすい理由を、褶曲のしくみから説明できる

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動画:大地形の区分(1)(新期造山帯)

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高校地理「世界の地形」の第4回は、大地形の区分(1)新期造山帯です。世界に広がる大地形、特に陸地を区分するときに、どのような考え方で分けるのかを扱います。

世界には、尖った山もあれば、なだらかな山もあります。どうしてそのような違いが生まれるのでしょうか。今回の内容が分かると、この疑問に自分で答えられるようになります。

尖った山となだらかな山の違い

世界の陸地には、さまざまな地形が広がっています。平らで広大な平地もあれば、少し凸凹したなだらかな山脈もあり、ギザギザとした険しい山脈もあります。地理学では、このような険しい山脈を急峻(きゅうしゅん)と表現します。

こうした違いが生まれるのは、そこに山が形成された時期が違うからだと考えます。起伏の少ない広大な地域を例にとると、昔はそこに山があったものの、山ができてから長い年月が経ち、長期間雨風にさらされて削られたために、今では平らになってしまったと考えるのです。

一方、急峻な山はできてからの日が浅く、削られた程度が少ないため、ギザギザのままだと考えることができます。このように、山が形成された時期によって世界の陸地をいくつかに区分し、そこに広がる地形を説明する。これが今回から3回の記事で扱うポイントです。

「大地形と形成時期」と題したスライド。左から「広大な平地」(一本の木が立つ乾いた草原)、「なだらかな山脈」(緑に覆われた丸い稜線の山並み)、「急峻な山脈」(雪と岩肌の鋭くとがった高山)の3枚の写真が横に並び、その下に「(形成された時期)」として「古い」から「新しい」へ向かう赤い矢印が引かれている。
左から右へ、地形の起伏が平らなものから鋭いものへ変わっていく。その並びが、下の「古い→新しい」の矢印とそのまま対応している

地質時代と造山運動

世界の地形を何億年という単位で考えるときに使うのが、地質時代という分け方です。地球が誕生した46億年前からの約40億年間、およそ5.4億年前までが先カンブリア時代にあたります。そこから約2.5億年前までが古生代です。約6600万年前までが中生代、そしてそれ以降、現在までが新生代と呼ばれます。

「大地形の区分」と題した表。上段の「地質時代」の帯が、先カンブリア時代(橙)、古生代(緑)、中生代(紫)、新生代(黄)に色分けされ、その境目に46億年前・5.4億年前・2.5億年前・6600万年前の目盛りが打たれている。下段の「造山運動の起こった時期」の3行と、表の下の「(削られている時間)」「(形状)」の欄はまだ空白になっている。
帯の幅は年数に比例していない。先カンブリア時代だけで約40億年あるのに、幅は右の3つとほとんど変わらないことに注意したい。下段の空欄は、次の図で埋まった完成形が示される

そして、山が作られることを造山運動といいます。この造山運動をいつ受けたかによって、世界の陸地は3つに区分されます。

安定陸塊・古期造山帯・新期造山帯

先カンブリア時代に造山運動を受けて、それ以降は造山運動を受けていない場所を安定陸塊といいます。同じように、古生代に造山運動を受けて、その後は造山運動を受けていない場所が古期造山帯です。そして中生代以降、つまり中生代もしくは新生代に造山運動を受けた場所を新期造山帯と呼びます。

削られた時間が長いほど丸みを帯びる

古くに形成された場所ほど、長い時間雨風にさらされてきたことになります。削られている時間、つまり侵食を受けた時間は、安定陸塊が最も長く、古期造山帯、新期造山帯の順に短くなります。

侵食された時間が長いほど、削られて角が取れ、丸みを帯びていくと考えられます。そのためそこに広がる地形は、新期造山帯では尖っていて急峻です。しばらく削られた古期造山帯ではやや丸みを帯び、さらに長い時間削られた安定陸塊では平らになります。

「大地形の区分」の完成した表。地質時代の帯の下に3本の赤い線が引かれ、安定陸塊は先カンブリア時代、古期造山帯は古生代、新期造山帯は中生代以降の位置で線が波打っている。表の下には「(削られている時間)」として「長」から「短」へ向かう赤い矢印があり、「(形状)」として左から平らな線、丸い稜線の山、鋭くとがった山の3つの手描きの図が並んでいる。
赤い線が波打っている区間が、造山運動を受けていた期間にあたる。波が早く終わる区分ほど、下に描かれた山の形が平らになっている

若いうちは荒削りで尖っているけれども、年を取るにつれて風雨にさらされ、角が取れてだんだんと丸みを帯びていく。まるで人間のようですが、世界の地形も同じように年を重ねていくと考えられています。

地形が年を取ると丸くなるというのは、覚えやすいたとえですね。

Kiri
Kiri

3つの名前は、どれも造山運動を受けた「時期」を表しているんだ。どれが新しくてどれが古いのか、古い順に並べ直せるようにしておこう。

3つの観点から整理する

安定陸塊・古期造山帯・新期造山帯という世界の大地形は、次の3つの観点から整理していきます。ここまで見てきた(1)形成された時代に加えて、(2)分布・主な山脈、(3)産出される資源です。

「世界の大地形区分の整理」と題したスライド。「世界の大地形を、」という書き出しに続いて、黄色い枠の中に「(1)形成された時代」「(2)分布・主な山脈」「(3)産出される資源」の3項目が縦に並び、その下に「の観点から整理しましょう。」と書かれている。
この3項目が、大地形を覚えるときの共通の型になる。(1)はすでに済ませたので、ここから(2)と(3)へ進む

今回扱うのは、一番新しい地形である新期造山帯です。

新期造山帯はどこに広がるか

新期造山帯は、中生代から現在にかけて造山運動が続いている場所です。山ができる場所は、基本的にはプレート同士がぶつかる場所、すなわち前回学んだ狭まる境界にあたります。そのため新期造山帯の分布は、狭まる境界の分布と大きく重なります。

分布は大きく2か所に分けられます。1つ目は、太平洋の周辺にある環太平洋造山帯です。南アメリカ大陸の西側から太平洋をぐるっと囲むようにして、日本を含んでニュージーランドまで続きます。

もう1つは、アルプス・ヒマラヤ造山帯です。東南アジアからヒマラヤ山脈を通り、ヨーロッパ、そしてアフリカ北部へとつながります。

「新期造山帯の分布」と題した世界地図。南アメリカ大陸の西岸から北アメリカ西岸、アラスカ、日本列島、フィリピン、ニュージーランドまで太平洋を取り囲む赤い帯に「環太平洋造山帯」、アフリカ北部から地中海沿岸、西アジア、ヒマラヤを経て東南アジアの島々へ続く緑の帯に「アルプス・ヒマラヤ造山帯」のラベルが付いている。
赤い帯は太平洋をぐるりと一周し、緑の帯は東西に細長く延びている。2本の帯は、東南アジアの島々の付近で出会っている

この2つの新期造山帯の分布が、前回学んだ狭まる境界とおおむね一致していることを、前回のレッスンや地図の上で確かめておいてください。

環太平洋造山帯の主な山脈

新期造山帯の中で覚えておきたい具体的な山脈を確認します。ここで挙げる10個の山脈はどれも代表的なものなので、すべて場所と名前を一致させられるように頑張りましょう。

まずは、環太平洋造山帯に含まれる山脈です。南アメリカ大陸にあるのが、1番のアンデス山脈。北アメリカ大陸に移ると、2番のロッキー山脈と、アラスカ山脈があります。山脈名ではありませんが、日本、フィリピン、ニュージーランドも環太平洋造山帯に含まれることに注意してください。

「覚えておきたい新期造山帯」と題した太平洋中心の地形図。南アメリカ西岸のアンデス山脈に①、北アメリカ西部のロッキー山脈に②、アラスカの山地に③の番号と赤い線が引かれ、日本列島・フィリピン・ニュージーランドがそれぞれ赤い丸で囲まれている。右側には①アンデス山脈から⑩アトラス山脈までの一覧があり、③アラスカ山脈が赤枠で強調されている。
赤い線も赤い丸も、どれも太平洋を取り囲む位置に並んでいる。線が引かれているのはアンデス・ロッキー・アラスカの3つで、日本・フィリピン・ニュージーランドは丸で囲まれている。右の一覧の赤枠は③アラスカ山脈を示している

アルプス・ヒマラヤ造山帯の主な山脈

続いて、アルプス・ヒマラヤ造山帯に含まれる山脈です。4番のヒマラヤ山脈、5番のパミール高原、6番のザグロス山脈、7番のカフカス山脈が挙げられます。パミール高原は、世界の屋根とも言われます。

続けて、8番のアルプス山脈、9番のピレネー山脈、そして10番のアトラス山脈です。アトラス山脈はアフリカ北部にあります。

「覚えておきたい新期造山帯」と題したユーラシア・アフリカ中心の地形図。ヒマラヤ山脈に④、ザグロス山脈に⑥、カフカス山脈に⑦、アルプス山脈に⑧、ピレネー山脈に⑨、アトラス山脈に⑩の番号と赤い線が引かれ、パミール高原は⑤の番号とともに赤い輪で囲まれている。右側には①アンデス山脈から⑩アトラス山脈までの一覧があり、⑩アトラス山脈が赤枠で強調されている。
赤い線は、ピレネーやアトラスからアルプス、カフカス、ザグロスを経てヒマラヤまで、東西につながるように並んでいる。パミール高原だけは線ではなく、輪を描くように囲まれている。右の一覧の赤枠は⑩アトラス山脈を示している

10個もあると、名前を覚えきれるか心配です。

Kiri
Kiri

共通テストでは「山の名前」が問われることはありませんが、新期造山帯に属する山脈の地図上の位置は重要ですね。地図帳に印をつけておいたり、白地図上で場所を書き込んだりしてみよう。学校の定期テスト対策で名前まで覚えた方がいいかどうかは、学校の先生に聞いてみましょう!

新期造山帯で採れる資源

整理ポイントの3つ目は、そこで採れる資源です。新期造山帯で採れる代表的な資源は石油です。新期造山帯では他にも、銅、亜鉛、鉛、スズ、銀などの非鉄金属も多く採れます。ただし、まずは新期造山帯といったら石油、と覚えておきましょう。

石油が採りやすい場所と採りにくい場所

どうして新期造山帯で石油が採れやすいのかは、石油の採り方と関係があります。石油自体は地球上のいろいろな場所に存在しますが、場所によって、採取しやすい場所と採取しにくい場所があるのです。

石油は水より軽いという性質を持ちます。そのため地下水がある場所では、地下水の上に石油がたまります。地下水が水平に存在する場所では、石油もその上に薄く水平に存在することになり、そこに穴を掘ってもうまく石油を吸い出すことができません。

イメージとしては、平らなお皿の上にあるジュースを、ストローで吸おうとしている状態です。お皿の上にジュースが残ってしまい、ストローの場所を動かさないとうまく吸えません。反対に、コップのようにジュースが深い場所に入っていれば、ストロー1本で簡単に吸うことができます。

褶曲と背斜・向斜

地形でいうと、コップにあたるのが、地層がぐにゃりと曲がっているところです。このように地層が曲がることを褶曲といいます。褶曲のうち上に凸になっている部分を背斜、下に凸になっている部分を向斜といいます。

褶曲した地層の背斜構造のところに、水や石油を通しにくい地層があると、その下に石油などがたまることがあります。石油は水より軽いため地下水の上にたまるので、石油が一か所に集まりやすくなるのです。こういう場所では、穴を掘ってパイプを挿せば、効率よく石油を採取することができます。

「世界の主な油田と新期造山帯」と題した世界地図に、2つの断面図が描き加えられている。右上は地層が水平な場合の断面図で、茶色い地層の間に赤い「石油」の層と青い「地下水」の層が薄く水平に広がり、そこへ黒いパイプが差し込まれている。左下は赤枠で囲まれた「褶曲(しゅうきょく)」の断面図で、波打った地層の盛り上がった部分に赤い石油、その下に青い地下水が描かれ、盛り上がった部分の下に「背斜」、くぼんだ部分の下に「向斜」のラベルが付き、盛り上がりの頂点へ黒いパイプが2本差し込まれている。
右上と左下の断面図を見比べたい。水平な地層では赤い石油が薄く横に広がるだけだが、褶曲した地層では盛り上がった部分の下に石油が厚く集まり、そこへパイプが届いている。背景の世界地図は次の項で使うので、いまは2つの断面図に注目したい

褶曲している場所にしか石油がない、ということではないんですね。

Kiri
Kiri

あくまでも、そこに石油が溜まりやすいから大油田が形成されやすいという話ですね。地図で見て分かる通り、新期造山帯以外にも大油田はたくさんあります。

そしてこの褶曲は、大地がぐにゃりと押しつぶされたときに起きます。つまり、プレートの狭まる境界の近くで褶曲が起きやすいのです。そして狭まる境界は新期造山帯と分布が重なるので、新期造山帯では石油が採れやすいということになります。

世界の主な油田と新期造山帯

世界の主な油田を表した地図を見ると、新期造山帯の近くで主な油田が見られることが多いのが分かるでしょう。

「世界の主な油田と新期造山帯」と題した世界地図。主な油田を示す黒い井桁の記号が、西アジアから北アフリカ、ヨーロッパ、西アフリカ、ロシア、東南アジア、北アメリカ西部、南アメリカなどに散らばり、その上に環太平洋造山帯の赤い帯とアルプス・ヒマラヤ造山帯の緑の帯が重ねられている。左下には褶曲の断面図、右上には水平な地層の断面図が残っている。
西アジアから地中海にかけての記号の密集は緑の帯と重なり、北アメリカ西部から南アメリカにかけての記号は赤い帯に沿って並んでいる。一方で、西アフリカやロシアのように、帯から離れた場所にも油田の記号がある

とはいえ、新期造山帯以外でも石油は存在しています。あくまで褶曲している場所だと石油は採取しやすい、という程度で考えておきましょう。

まとめ

今回は、山が形成された時期による大地形の区分と、そのうち一番新しい新期造山帯を扱いました。古期造山帯と安定陸塊については、次のレッスンで取り上げます。

区分 造山運動を受けた時期 削られている時間 地形の形
安定陸塊 先カンブリア時代 最も長い 平ら
古期造山帯 古生代 中間 やや丸みを帯びる
新期造山帯 中生代以降 最も短い 尖っている(急峻)
観点 新期造山帯
形成された時代 中生代から現在にかけて造山運動が続いている
分布 環太平洋造山帯とアルプス・ヒマラヤ造山帯。狭まる境界の分布と大きく重なる
主な山脈(環太平洋造山帯) アンデス・ロッキー・アラスカ(日本・フィリピン・ニュージーランドを含む)
主な山脈(アルプス・ヒマラヤ造山帯) ヒマラヤ・パミール高原・ザグロス・カフカス・アルプス・ピレネー・アトラス
産出される資源 石油。銅・亜鉛・鉛・スズ・銀などの非鉄金属も多く採れる
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