世界の多雨・少雨地域

この記事は約10分で読めます。
UNIT 03
世界の気候
LESSON 05

世界の多雨・少雨地域雨の多い地域と少ない地域は、何によって決まるのか?

雨が降るには雲、つまり上昇気流が欠かせません。上昇気流のでき方から雨の降り方を4つに分け、反対に雨が降らない砂漠のでき方も4つに分けて、世界の具体的な地域とともに整理します。

▶ 動画 9:14

この記事でわかること

  • 雨が降るには雲と上昇気流が必要であることをもとに、雨の降り方の4分類を説明できる
  • 地形性降雨・収束性降雨・対流性降雨・前線性降雨のしくみを、具体的な地域の例とともに説明できる
  • 砂漠の意味をふまえて、回帰線砂漠・内陸砂漠・海岸砂漠・雨陰砂漠のでき方と代表例を説明できる

動画で学ぶ

動画:世界の多雨・少雨地域

記事で学ぶ ↓

高校地理「世界の気候」の第5回は、世界の多雨・少雨地域です。世界で雨の多い場所や少ない場所は、どのようなしくみで生まれるのでしょうか。

雨が降るしくみと降らないしくみには、これまでも大気大循環や季節風、海流などの回で、個別に触れてきました。この記事では、それらを整理します。

内容は大きく2つのパートに分かれます。前半は雨の降るしくみ、後半は雨の降らないしくみで、それぞれメカニズムを4つずつ、具体例とともに解説します。

雨の降るしくみ:上昇気流による4つの分類

雨が降るためには、雲が絶対に必要です。そしてその雲ができるには、水蒸気を含んだ空気が上空へ昇ること、つまり上昇気流が欠かせません。つまり、雨が降る場所は、上昇気流が生じる場所とほぼ重なると考えることができます。

上昇気流が生じるしくみによって、雨の降り方は大きく4つに分類されます。地形性降雨、収束性(低気圧性)降雨、対流性降雨、前線性降雨の4つです。

「世界の多雨地域 ~雨の降るしくみ~」と題した4つの模式図。地形性降雨(海からの風が山の斜面を上る)、収束性(低気圧性)降雨(左右から吹き込んだ風が低気圧で上昇する)、対流性降雨(太陽に温められた地面から空気が昇る)、前線性降雨(暖気が寒気の上に乗り上げる)が2×2に並び、どれも緑の矢印で上昇気流が描かれている。
4つの図のどれにも、上へ向かう緑の矢印と、その先の雲と雨がある。違うのは、何が空気を押し上げているかという点だ

地形性降雨:山の斜面にぶつかる風

1つ目の地形性降雨は、山の斜面に風がぶつかることで上昇気流が生まれ、雨が降るタイプです。具体例には、季節風と局地風の回でも登場したインド北東部のアッサム地方や、インド南西部などがあります。どちらも、夏になると海から湿った季節風が吹き込む場所でした。その風が、アッサム地方ではヒマラヤ山脈に、インド南西部では西ガーツ山脈にぶつかり、たくさんの雨をもたらします。

別の具体例として、イギリスのグレートブリテン島西部も挙げられます。グレートブリテン島の中央には、ペニン山脈という山脈が走っています。偏西風は、暖かい北大西洋海流の上を通るあいだに、水蒸気をたっぷり含みます。この湿った偏西風がペニン山脈にぶつかると、上昇気流が生じて雨が降ります。その結果、風上にあたるランカシャー地方は、雨の多い湿潤な気候になります。

左はインドの衛星画像で、海から吹き込む季節風(緑の矢印)が西ガーツ山脈とヒマラヤ山脈に向かい、インド南西部とアッサム地方が赤い印で示されている。中央はグレートブリテン島の衛星画像で、北大西洋海流(赤い矢印)の上を通る偏西風(緑の矢印)がペニン山脈にぶつかっている。下には、ランカシャー地方(偏西風の風上で湿潤、産業革命初期には綿工業で発展、綿糸は湿度が必要)とヨークシャー地方(偏西風の風下で乾燥、乾燥に強い羊を飼育)の説明と、綿花・綿糸の写真がある。右端に地形性降雨の模式図がある。
インドの衛星画像では、季節風の矢印が山脈にぶつかる場所に赤い印がある。グレートブリテン島では、ペニン山脈の西と東の赤い印が下のランカシャー地方とヨークシャー地方の説明に結ばれ、山脈をはさんで気候も産業も分かれている

産業革命の時代、イギリスはアメリカ南部などから輸入する綿花を原料にした綿工業で栄えました。このとき産業革命の中心となったのが、湿潤な気候のランカシャー地方です。綿花から綿糸を作る際、空気がある程度湿っていないと、綿糸が切れやすいという性質があったためです。

反対に、風下にあたる東側のヨークシャー地方は、ランカシャー地方より雨が少なく、比較的乾燥した気候になります。そのためヨークシャー地方では、乾燥に強い羊の飼育が盛んです。

このほかにも、地形性降雨はさまざまな場所で見られます。偏西風がアンデス山脈にぶつかるチリ南部や、貿易風がぶつかるマダガスカルの南東部も、その例です。冬の季節風がぶつかって豪雪地帯となる、新潟県や山形県の山沿いも同様です。ある場所の降水量が目立って多いときは、そこにぶつかる風はないか、ぶつかる山脈はないかを考えるようにしてみましょう。

同じ島の中でも、山脈の西と東で気候だけでなく産業まで違っていたんですね。

Kiri
Kiri

山脈1本をはさんで、風上と風下で暮らしが分かれるんだ。この「風下側」の話は、後半の雨陰砂漠でもう一度出てくるよ。

収束性(低気圧性)降雨:低気圧帯に吹き込む風

2つ目は収束性降雨で、低気圧性降雨とも呼ばれます。大気大循環の回で学んだように、赤道付近は太陽の光が常にたくさん当たるため、上昇気流が卓越して低気圧帯となっていました。この低気圧帯には、中緯度高圧帯からの風が吹き込んでくる、つまり収束してくるのでした。

このように、空気が吹き込んでくる低気圧帯で上昇気流が起こり、雨が降るタイプが収束性降雨(低気圧性降雨)です。

地球の半円の模式図に、上下の60°と中央の0°の緯線が引かれている。南北の中緯度高圧帯(亜熱帯高圧帯)の「高」から、赤道低圧帯(熱帯収束帯)の「低」へ黒い矢印が吹き込み、赤道から上空へ向かう矢印のところに雲と「雨」が描かれている。右端に収束性(低気圧性)降雨の小さな模式図がある。
北と南の「高」から来た風が赤道の「低」に集まり、そこから上空へ昇っていく。雨が描かれているのは、この昇っていく流れのところだ

具体例は、赤道付近の熱帯収束帯に位置する国々です。アマゾンの熱帯雨林が広がる南米大陸北部、アフリカ大陸の中央部、東南アジアのインドネシアやシンガポールなどがあたります。これらの地域で雨が多いのは、収束性降雨によるものといえます。

世界の年降水量の分布を青の濃淡で示した地図に、赤道の赤い線が引かれている。南米大陸北部・アフリカ大陸中央部・東南アジアの島々の3か所が、赤い楕円で囲まれている。右端に収束性(低気圧性)降雨の小さな模式図がある。
3つの楕円は、どれも赤道の線をまたぐ位置にある。同じアフリカ大陸でも、楕円のある中央部と北部とでは青の濃さがまったく違う

また、台風は強い低気圧(熱帯低気圧)でした。そのため、台風によってもたらされる雨も、この収束性降雨に含まれます。

日本付近の気象衛星画像。日本列島の南の海上で白い雲が大きな渦を巻いており、「台風」の文字と、渦の中心に「低」の記号が付けられている。右端に収束性(低気圧性)降雨の小さな模式図がある。
渦を巻く雲の中心に「低」の記号がある。右端の模式図にある「低気圧」と同じしくみで雨が降っている

対流性降雨:地面が温められて起こる短時間の雨

3つ目の対流性降雨は、地面が太陽で温められることで上昇気流が生じ、激しい雨が降るものです。収束性降雨と似ていますが、対流性降雨はもっと短時間で起こる現象で、赤道付近以外でも見られます。対流性降雨の具体例は、日本で夏の夕方に見られる夕立や、熱帯地方のスコールなどです。スコールは、熱帯地方で短時間に強い雨がザッと降るものです。

対流性降雨の模式図。左上の太陽からオレンジの矢印が地面へ差し込み、「暖」と書かれた地面から緑の矢印(上昇気流)が真上へ昇って、上空の雲から雨が降っている。右に「例)夏の夕立ち」として、強い雨の中を傘をさして横断歩道を渡る人々の写真がある。
緑の矢印は、地面の「暖」の部分からまっすぐ上へ伸びている。横から風が吹き込む収束性降雨の図と違い、上昇のきっかけは温められた地面だ

前線性降雨:寒気と暖気がぶつかる前線

最後は前線性降雨です。冷たい空気の塊を寒気、暖かい空気の塊を暖気といい、寒気と暖気がぶつかる場所を前線といいます。前線では、冷たい空気が下に潜り込んだり、暖かい空気が乗り上げたりすることで上昇気流が生じ、雨が降ります。

この前線で生じる雨なので、前線性降雨と呼ばれます。具体例には、日本に6〜7月ごろ停滞する梅雨前線による、梅雨の降雨が挙げられます。

日本付近の地形の地図。日本列島の北側に青い楕円で「冷たく乾いた空気」、南側にオレンジの楕円で「暖かく湿った空気」が描かれ、その間に、赤い半円と青い三角が交互に並ぶ前線の記号が西から東へのびて「梅雨前線」と書かれている。右端に前線性降雨の小さな模式図がある。
梅雨前線の記号は、北の冷たい空気と南の暖かく湿った空気の境目に沿ってのびている

また、緯度60度くらいで見られる降水も前線性降雨です。緯度60度付近は、亜寒帯低圧帯と呼ばれるエリアでした。ここでは、2つの風がぶつかります。中緯度高圧帯からやってくる温暖な偏西風と、極高圧帯からやってくる冷たい極偏東風です。

北半球では、南からやってきた暖かい偏西風が、北からやってきた冷たい極偏東風の上に乗るようにして、上昇気流を生み出します。こうして亜寒帯低圧帯では、寒帯前線と呼ばれる前線が発達し、降水量の多い地域となります。

地球上の緯度別の降水量をグラフに表すと、次のようになります。

  • 赤道付近:熱帯収束帯の影響で降水量が多い
  • 回帰線から緯度30度付近:中緯度高圧帯の影響で降水量が少ない
  • 緯度40〜60度付近:再び降水量が多くなる

この緯度40〜60度付近の多雨は、主に寒帯前線による前線性降雨によるものです。

左は北半球の大気大循環の模式図で、極高圧帯から吹き出す極偏東風(青い矢印)と、中緯度高圧帯の側から吹く偏西風(オレンジの矢印)が亜寒帯低圧帯でぶつかり、そこに前線の記号と「寒帯前線」のラベルが描かれている。下のほうには北回帰線と赤道低圧帯(熱帯収束帯)がある。右は0°から90°Nまでの緯度別の年平均降水量のグラフで、赤い丸で囲まれた部分に「寒帯前線の影響で多雨」と注記されている。右端に前線性降雨の小さな模式図がある。
グラフの青い線は、赤道で最も右(多雨の側)に寄り、北回帰線の少し北で左(少雨の側)へ大きく寄る。そして赤い丸の中で、もう一度右へふくらんでいる

以上が、雨の降るしくみの4分類です。なお、現実の世界の雨は、どれか1つの型にはっきり分類できるものばかりではありません。4つのしくみが複数組み合わさって降る雨も多いので、誤解しないようにしましょう。

雨の降らないしくみ:砂漠ができる4つの分類

後半は、世界の少雨地域、つまり雨の降らないしくみです。降水量が非常に少ない場所のことを砂漠というので、雨の降らないしくみは、砂漠のできるしくみと言い換えられます。砂漠のできるしくみは、回帰線砂漠、内陸砂漠、海岸砂漠、雨陰砂漠の4つに分類されます。

「世界の少雨地域 ~雨の降らないしくみ~」と題した4つの模式図。回帰線砂漠(下降気流が高気圧のところへ降りてくる)、内陸砂漠(両側の海から来る水蒸気の矢印が内陸まで届かない)、海岸砂漠(寒流の上の冷気の上に暖かい空気がある)、雨陰砂漠(湿った風が山の風上で雨を降らせ、風下へ乾燥した風が下りる)が2×2に並ぶ。右には「雨の降らないしくみ=砂漠のできるしくみ」とあり、砂漠について「正:降水量が少ない」「誤:砂が広がっている」と注記されている。
黄色いラベルの位置に注目すると、砂漠ができる場所は高気圧の下、大陸の内部、寒流沿いの海岸、山の風下と、4つの図でそれぞれ違っている

なお、砂漠というと、鳥取砂丘のように砂が広がっている場所をイメージするかもしれません。しかし地理学でいう砂漠とは、降水量が非常に少ない場所のことです。砂が広がっている場所とは限らないので、注意しましょう。鳥取砂丘は雨がたくさん降るため、砂漠ではありません。

鳥取砂丘は砂漠ではなかったんですね。砂があれば砂漠だと思い込んでいました。

Kiri
Kiri

見た目の印象と、地理の用語としての意味がずれている例だね。用語は、まず定義から押さえておこう。

回帰線砂漠:中緯度高圧帯の下降気流

1つ目の回帰線砂漠は、中緯度高圧帯の影響が大きく、一年中下降気流が卓越する場所で形成される砂漠です。中緯度高圧帯は、大気大循環の回で学んだ気圧帯です。北回帰線・南回帰線の付近で形成されるため、この名前で呼ばれます。

大気大循環の模式図。南北の中緯度高圧帯(亜熱帯高圧帯)の帯と「高」の記号だけが赤く強調され、そこへ上空から降りてくる矢印の横に「下降気流が卓越」と書かれている。極高圧帯・亜寒帯低圧帯・赤道低圧帯(熱帯収束帯)は灰色で薄く示されている。右端に回帰線砂漠の小さな模式図がある。
赤く強調された南北2本の中緯度高圧帯では、上空の空気が地表へ降りてきている。赤道の「低」から空気が昇っていくのとは、向きが逆だ

回帰線砂漠の具体例には、アフリカ大陸北部のサハラ砂漠や、アフリカ大陸南部のカラハリ砂漠があります。アラビア半島のルブアルハリ砂漠や、オーストラリアのグレートサンディ砂漠なども該当します。地図で位置を確かめると、どの砂漠もほぼ回帰線と同じ緯度に位置しています。

世界の白地図に北回帰線と南回帰線が引かれ、サハラ砂漠・ルブアルハリ砂漠・カラハリ砂漠・グレートサンディ砂漠が黄色の斜線で示されている。右端に回帰線砂漠の小さな模式図がある。
北半球のサハラ砂漠とルブアルハリ砂漠は北回帰線の近くに、南半球のカラハリ砂漠とグレートサンディ砂漠は南回帰線の近くに広がっている

内陸砂漠:海から遠い大陸の内部

2つ目は内陸砂漠です。海からの遠さの度合いを隔海度といいます。内陸砂漠は、海から遠くて水蒸気の供給が非常に少ない地域、つまり隔海度が非常に大きな地域にできる砂漠です。具体例には、中国とモンゴルの国境付近に広がるゴビ砂漠や、中国西部のタクラマカン砂漠などがあります。いずれも、海からとても離れた場所に位置する砂漠です。

世界の白地図で、ユーラシア大陸の内部にゴビ砂漠とタクラマカン砂漠が黄色の斜線で示されている。右端に内陸砂漠の小さな模式図があり、両側の海から来る水蒸気の矢印が、内陸まで届く前に途切れている。
黄色の2つの砂漠はユーラシア大陸のほぼ中央にあり、どの方向の海岸線からも遠い

海岸砂漠:寒流で安定した大気

3つ目は海岸砂漠です。近くを寒流が流れている地域では、海から運ばれてきた冷たい空気によって、大気が安定して、上下に動きにくくなってしまいます。そのため上昇気流が生じず、乾燥地域となります。

海岸砂漠の模式図。海に青い「寒流」が流れ、その上から陸地にかけて青い破線で囲まれた「冷気」があり、下向きの矢印で海岸砂漠の上に降りている。さらに上には赤い破線で囲まれた「暖」と上向きの矢印がある。右に「大気が安定(=動かない)→上昇気流が発生しない→雲が形成されず乾燥」と書かれている。背景には、ほかの3つの砂漠の模式図が薄く残っている。
寒流で冷やされた空気が下に、暖かい空気が上に重なっている。この重なり方が、右の説明にある「大気が安定」の状態にあたり、空気は上下に動きにくい

このようにしてできる砂漠を、海岸砂漠といいます。そのしくみは、前回の海流と気候の回で詳しく説明しています。

海岸砂漠の代表例は、次の3つです。

  • ベンゲラ海流によって形成される、ナミブ砂漠
  • ペルー海流(フンボルト海流)によって形成される、アタカマ砂漠
  • カリフォルニア海流によって形成される、カリフォルニア半島の砂漠
世界の白地図に、3組の寒流と海岸砂漠が示されている。アフリカ大陸の南西岸を北上するベンゲラ海流とナミブ砂漠(赤い砂丘と枯れ木の写真つき)、南アメリカ大陸の西岸を北上するペルー海流(フンボルト海流)とアタカマ砂漠(乾いた山地の写真つき)、北アメリカ大陸の西岸を南下するカリフォルニア海流とカリフォルニア半島(上空から見た半島の写真つき)。右端に海岸砂漠の小さな模式図がある。
3本の青い矢印は、どれも大陸の西岸に沿って流れている。砂漠の位置も、それぞれの矢印のすぐ陸側にある

雨陰砂漠:山地の風下側

最後は雨陰砂漠(あまかげさばく)で、地形性降雨の裏側で形成される砂漠と考えることもできます。卓越風が山地にぶつかって風上側で雨を降らせたあと、乾燥した風が降りてくる風下側に形成されるのが、雨陰砂漠です。季節風と局地風の回で解説した、フェーン現象の風下側での様子ともいえます。

見出しは「雨陰砂漠(あまかげさばく)」。上はフェーン現象の断面図で、20℃の湿潤な空気が風上側の斜面を上りながら雨を降らせ(100mにつき0.5℃低下)、標高2000mの山頂で乾燥した10℃の空気になり、風下側を下りて(100mにつき1℃上昇)30℃の乾燥した空気になる様子が描かれている。右下は雨陰砂漠の模式図で、湿った風が山の風上側で雨を降らせたあと、「乾燥」した風が風下側へ下り、そのふもとに雨陰砂漠がある。
上のフェーン現象の図と右下の雨陰砂漠の図は、山の形も風の通り道も同じだ。フェーン現象の図でいえば、30℃の乾燥した空気が下りてくる右側のふもとに、雨陰砂漠ができる

雨陰砂漠の代表例は、アルゼンチン南部のパタゴニア地方です。偏西風は、アンデス山脈にぶつかって、風上側の西側に雨を降らせます。そのあと乾燥した風が降りてくることで形成される乾燥地域が、パタゴニアです。パタゴニアでは、乾燥した気候にも耐えられる家畜として、主に羊が飼育されています。

南アメリカ大陸の白地図に、西岸に沿ってのびるアンデス山脈(茶色の線)と、西から吹きつける偏西風(緑の矢印)が描かれ、アンデス山脈の東側、大陸南部の「パタゴニア」が黄色の斜線で示されている。左に、雪をかぶった山を背に草地を歩く羊の群れの写真がある。右端に雨陰砂漠の小さな模式図がある。
緑の偏西風の矢印は西からアンデス山脈にぶつかる。山脈の西側(風上側)は前半で見たチリ南部にあたり、黄色のパタゴニアはその反対の東側にある

まとめ:雨の降るしくみと降らないしくみ

ここまでに見た、雨の降るしくみと降らないしくみの8つの分類を、表にまとめます。

分類 しくみ 代表例
地形性降雨 風が山の斜面にぶつかり、上昇気流が生じる アッサム地方、インド南西部、グレートブリテン島西部、チリ南部
収束性(低気圧性)降雨 風が吹き込む低気圧帯で、上昇気流が起こる 南米大陸北部、アフリカ大陸の中央部、インドネシア、台風の雨
対流性降雨 太陽に温められた地面から、上昇気流が生じる 夏の夕立、熱帯地方のスコール
前線性降雨 寒気と暖気がぶつかる前線で、上昇気流が生じる 梅雨、亜寒帯低圧帯の寒帯前線
回帰線砂漠 中緯度高圧帯の下で、一年中下降気流が卓越する サハラ砂漠、カラハリ砂漠、ルブアルハリ砂漠、グレートサンディ砂漠
内陸砂漠 海から遠く、水蒸気の供給が非常に少ない ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠
海岸砂漠 寒流で大気が安定し、上昇気流が生じない ナミブ砂漠、アタカマ砂漠、カリフォルニア半島の砂漠
雨陰砂漠 山地の風上側で雨を降らせた風が、乾燥して風下側に降りてくる パタゴニア地方

熱帯収束帯と中緯度高圧帯は、季節によって南北に移動します。そのため、雨季と乾季が交互に訪れる地域も生まれます。次回はケッペンの気候区分です。そこから、世界の気候を気候区ごとに詳しく見ていきましょう。

理解を確認しよう
この記事の内容を確認する問題に挑戦して、理解を定着させましょう。全10問・約3分
確認問題に挑戦する →
Google フォームへ移動

コメント

タイトルとURLをコピーしました