気候要素と気候因子、世界の気温緯度・標高・隔海度が決める気温の仕組み
気候の定義から気候要素と気候因子の違いを整理し、緯度・標高・隔海度が世界の気温に与える影響や等温線の読み取り方をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 気象・天気(天候)・気候の違いを説明でき、気候要素と気候因子を区別できる
- 緯度・標高・隔海度が気温にどう影響するかを、日較差・年較差や気温の逓減率とあわせて説明できる
- 等温線の形から1月と7月を見分け、熱赤道が赤道よりやや北に位置する理由を説明できる
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今回から新しい単元「世界の気候」に入ります。第1回のテーマは、気候要素と気候因子、そして世界の気温です。
この記事では、まず「気候とは何か」を整理し、気候を構成する気候要素と、それに影響を与える気候因子について解説します。そのうえで、気候の三大要素の一つである世界の気温を詳しく見ていきます。
これまで学習してきた地形と、この気候を合わせて自然地理学と呼びます。ある場所での人間の暮らし、産業、文化などは、その土地の地形と気候の影響を色濃く受けています。地形と並んで地理学習のベースとなる大切な単元なので、じっくり取り組んでいきましょう。
気候とは何か
まずは「気候」という言葉の定義から確認します。気候とよく似た言葉に、天気、天候、気象などがあります。
気象とは、晴れ、雨、雪など、大気のさまざまな諸現象を表す言葉です。たとえば上空に雲がなくて太陽が見えていれば、その現象を私たちは「晴れ」と呼びます。雲から液体の水が降ってくるような現象は「雨」と呼びます。こうした大気のさまざまな現象が気象です。
そして、ある特定の場所や時刻における気象を、天気、もしくは天候と言います。たとえば「明日の東京の天気は曇りです」とは言いますが、「明日の東京の気象は曇りです」とは言いませんね。
では気候とは何かというと、ある場所で長期にわたって毎年繰り返される大気の総合的な状態と定義されます。
ポイントは「長期にわたって毎年繰り返される」という点です。たとえばある1日だけ晴れたり、ある年だけ雨が少なかったとしても、それはその日の天気が晴れというだけの話であり、それをもってそこが乾燥した気候だとは言えません。雨がとても少ないことがその地域における普通と言えるくらい、何十年も毎年繰り返されて、はじめてそこは乾燥した気候だと言えるのです。
気候要素と気候因子
気候を構成する要素、気候を表現する要素は、気候要素と呼ばれます。たとえば気温、風の向きや強さ、降水量、ほかにも湿度、紫外線の量、気圧などが気候要素です。
これらの中でも特に、その地域の気候を特徴づける重要な要素として、気温・風・降水量の3つが「気候の三大要素」と呼ばれます。
一方、気候要素に影響を与える因子、つまり、ある場所が寒いのか暑いのかといったことに影響を与えるファクター(要因)を気候因子と言います。緯度や標高、地形や海流、それから隔海度(海からどのくらい離れているかを表す度合い)などが、気候因子として挙げられます。

気温と緯度
ここからは、気候の三大要素の1つ目である気温を詳しく見ていきます。まず、気温のベースになるのはその場所の緯度です。
緯度が低い、つまり赤道に近い場所ほど気温が高く、緯度が高い、つまり北極・南極に近いほど気温が低くなります。イメージはしやすいと思いますが、その理由を確認しておきましょう。
地球を温めているのは太陽の光です。同じ量の太陽の光が緯度の高い場所と低い場所に入ってきたとき、緯度の低い場所では太陽の光がほぼ真上から入ってきます。そのため、太陽の熱が狭い範囲にまとまってぶつかることになります。
虫眼鏡で太陽の光を集めると紙が燃えるように、太陽の光は狭い範囲に集まるほど熱くなります。これが、低緯度地域の気温が高い理由です。
一方、緯度が高い場所では、太陽の光が斜めから、浅い角度で入ってきます。そのため、同じ量の太陽の光が入ってきても、広い範囲に薄く、少しずつ熱が届くことになり、高緯度地域では気温が低くなります。

日較差と年較差
気温には、日較差・年較差という言葉があります。
- 日較差:1日の中での最低気温と最高気温の差。たとえば最低気温20度、最高気温30度の日なら、日較差は10度
- 年較差:1年の最暖月平均気温(最も暖かい月の平均気温)と、最寒月平均気温(最も寒い月の平均気温)の差
たとえば東京の場合、一番暑い8月の平均気温は約27度、一番寒い1月の平均気温は約5度なので、年較差は約22度となります。年較差は「1年の中での最高気温と最低気温の差」ではないので、注意してください。
低緯度地域では、1年を通して太陽が高い角度から当たります。そのため、1年間の中での気温の変化、つまり年較差が小さく、年較差よりも1日の中での朝と昼の温度差、つまり日較差の方が大きくなります。赤道直下の国であるシンガポールの気温のグラフを見ると、1年を通してほとんどまっすぐになっています。
逆に緯度が高い国では、季節によって太陽の差し込む角度が大きく変わるため、年較差が大きくなります。シンガポールは1年中暑いですが、緯度が高い日本では、春夏秋冬と季節によって気温の変化がはっきりありますね。このように、緯度が高くなるほど年較差も大きくなり、気温のグラフは上下の幅が大きくなります。

気温と標高(気温の逓減率)
緯度に加えて、標高も気温に大きな影響を与える気候因子です。富士山の上には春になっても雪が残っているように、緯度が同じであっても標高の高い場所ほど気温は低くなります。
標高が上がるにつれて気温が下がる割合のことを、気温の逓減率と言います。逓減率は湿度などによって変わりますが、標高が100メートル上がるごとに0.65度気温が下がるという数値が、気温の平均逓減率としてよく使われます。
これはたとえば、1000メートル上がれば6.5度、2000メートル上がれば13度、3000メートル上がったら約19.5度も気温が下がることを意味します。

高山都市の気候(キトの例)
標高が上がるほど気温は下がるという性質を生かして、低緯度地域では標高の高い場所に古くから都市が発達してきました。
一例が、南米の赤道直下にある国、エクアドルです。エクアドルの首都キトは、なんと標高2850メートルに位置しています。そのため、赤道直下にあるにもかかわらず、年間を通じて平均気温は15度前後と、涼しくて過ごしやすい町になっています。

気温と隔海度(比熱の違い)
気温に一番大きな影響を与えるのは、ここまで見てきた緯度と標高ですが、ほかに隔海度も重要な気候因子です。
隔海度とは、海からどのくらい離れているかを表す言葉です。海から離れている、つまり内陸に行けば行くほど隔海度は大きく、海に近ければ隔海度は小さいと表現します。この隔海度が違うと、気温の上がりやすさや下がりやすさが変わってきます。
海と陸地、つまり水と岩石を比べてみると、水よりも岩石の方がずっと温まりやすく、冷めやすいという性質があります。もう少し正確に言えば、水に比べて岩石は比熱が小さいということです。
気温40℃の日に真夏の海に行くと、砂浜は裸足で歩けないくらい熱くなっているのに、海の水がお風呂のように熱くなることはありません。これは、同じ量の太陽の光を受けたとしても、砂はすぐに温まるけれど、水はなかなか温まらないためです。同様に、気温マイナス10℃の真冬に地面が凍ったとしても、海の水がマイナス10℃まで下がることはありません。
このように、海は温まりにくく冷めにくい、陸地はすぐ暑くなるしすぐ冷たくなる、という性質があります。

海洋性気候と大陸性気候
この海と陸地の温まりやすさ、冷たくなりやすさの違いによって、海洋性気候と大陸性気候というものが生まれます。
- 海洋性気候:海に近い、つまり隔海度が小さい地域で見られる気候。海の影響を受けて夏と冬の温度差があまり大きくならず、気温の変化が比較的小さいマイルドな気候
- 大陸性気候:内陸にあって海から遠い、隔海度の大きな地域の気候。夏は暑くて冬は寒いという、気温の年較差が大きいワイルドな気候
例として、緯度も標高も同じくらいの3つの都市、ロンドン、キエフ、チタの気温を比べてみましょう。海に囲まれたロンドンは、冬でもあまり気温の下がらない海洋性気候です。海から少し遠くなったキエフでは、気温の年較差がロンドンよりも大きくなっています。そして、内陸に入って隔海度の大きくなったチタでは、冬の気温がマイナス30度近くまで下がり、年較差の非常に大きな大陸性気候となっています。
同じ緯度に位置していても、年較差が小さければ海の近く、年較差が大きければ内陸部と考えるようにしましょう。

雑学:県庁所在地で過去最高気温が最も低い都市
やや雑学的な内容ですが、日本の47都道府県の県庁所在地の中で、過去最高気温が最も低い都市はどこだと思いますか。
意外かもしれませんが、答えは沖縄の那覇です。沖縄は南にあって暑いイメージがありますが、周りを海に囲まれた海洋性気候なので、夏でもそれほど気温が高くならないのです。
参考までに、過去最高気温が一番高かったのは埼玉県熊谷市で、2018年に41.1度を記録しています。那覇市の過去最高気温は35.6度までしか上がったことがありません。
1月と7月の等温線
地図上で気温が同じ場所を線で結んだものを、等温線と言います。ここで、1月の等温線と7月の等温線を並べた2枚の図を見てみましょう。どちらがどちらか、判断できるでしょうか。
正解は、上が1月、下が7月です。見分けるポイントはいくつかありますが、注目してほしいのは等温線の形です。
上の図の等温線を見ると、ユーラシア大陸や北米大陸では、等温線が低緯度側に向かってカーブしています。気温ごとに色分けしてみるとわかりやすいのですが、低緯度側に向かってカーブしているということは、同じ緯度上では内陸部分の方が気温が低いということを意味します。
海沿いよりも内陸の方が夏は暑くなりやすく、冬は寒くなりやすいという特徴を思い出すと、内陸部分の方が寒いというのは冬の気温だと判断できます。したがって、上の図は北半球が冬、つまり1月の等温線だと判断できます。
逆に下の図の等温線を見ると、等温線が高緯度側に向かってカーブしています。つまり、同じ緯度上では海沿いよりも内陸部分の方が気温が高いということです。内陸部分の方が暑いというのは夏の気温だと判断できるので、下の図は北半球が夏、つまり7月ということになります。

熱赤道
気温の最後に、熱赤道を紹介します。熱赤道とは、それぞれの経線上で年平均気温が最も高い場所を結んだ線です。たとえば、ある経線上で年平均気温が一番高い場所はここ、という地点を結んでいったものです。
熱赤道は、赤道よりもやや北に位置します。これは、北半球の方が陸地の比率が大きいためです。同じ量の太陽エネルギーを受け取ったとき、陸地の方が温まりやすいので、熱赤道も赤道よりやや北に位置することになります。

まとめと次回予告
今回は、気候の定義、気候要素と気候因子、そして気候の三大要素の一つである気温について、緯度・標高・隔海度という観点から確認しました。
次回は、残る気候の三大要素である風と雨について解説します。
この記事の内容を確認する問題に挑戦して、理解を定着させましょう。全10問・約3分
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