C気候(温帯)の自然と暮らし夏に乾燥する温帯が、大陸の西側にしかないのはなぜか
温帯は、最寒月平均気温が18℃未満、−3℃以上の場所です。これをCs・Cw・Cfa・Cfbの4つに分け、大気大循環や季節風、暖流、偏西風のはたらきから分布を確かめます。また、植生や農業、ワインやカフェなど暮らしとの関わりを見ていきます。
この記事でわかること
- 温帯の定義と、Cs・Cw・Cfa・Cfbの4つへの分け方を説明できる
- 地中海性気候が緯度30〜45度の大陸西側に分布する理由と、硬葉樹林・ワイン・小麦などの暮らしとの関係を説明できる
- 西岸海洋性気候が高緯度のわりに温暖な理由と、Cw・Cfa・Cfbの植生などの特徴を説明できる
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C気候(温帯)とは、どのような場所なのでしょうか。前回までの熱帯・乾燥帯に続いて、今回は温帯を詳しく取り上げます。
温帯(C気候)の定義と4つの分類
温帯とは、最寒月平均気温、つまり1年で最も寒い月の平均気温が18℃未満、−3℃以上の場所です。暑すぎず寒すぎず、人間の活動が最も盛んな気候といえます。
この温帯は、詳しく見るとさらに4つの気候帯に分類されます。
- 夏に乾燥する地中海性気候で、記号はCs
- 冬に乾燥する温暖冬季少雨気候で、記号はCw
- 年間を通して降水が見られ、最暖月平均気温が22℃以上の温暖湿潤気候で、記号はCfa
- 年間を通して降水が見られ、最暖月平均気温が22℃未満の西岸海洋性気候で、記号はCfb

地中海性気候(Cs)
温帯の1つ目は、夏に乾燥する地中海性気候(Cs)です。北半球と南半球のどちらでも、緯度30〜45度くらいの場所に見られます。
緯度30〜45度に分布する理由
Cs気候がなぜこのくらいの緯度に分布するのか、大気大循環のモデルから考えてみましょう。緯度30〜45度くらいの場所は、北半球では夏に北上してきた亜熱帯高圧帯の影響で雨が少なくなり、冬には南下してきた亜寒帯低圧帯の影響で雨が降ります。

これより緯度が低くなると、1年中亜熱帯高圧帯の影響が大きくなり、乾燥するB気候になってしまいます。そのため、前回のレッスンで学んだB気候の分布と重ねると、BS気候のすぐ外側、つまり高緯度側に接するようにCs気候が分布していることがわかります。

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大陸の西側だけに見られる理由
ただ、このモデルのとおりなら、同じ緯度の場所はすべてCs気候になってしまいそうです。しかし実際には、Cs気候は大陸の西側にしか見られません。大陸の東側には暖流が流れていて、水蒸気が供給されやすい状態です。さらに夏には、海から陸に向かって季節風が吹きます。そのため大陸の東側は夏でも雨が降りやすく、Cs気候にはならないのです。
世界で5か所しかない分布
そのため、Cs気候の分布は非常に限られており、大きく分けると世界で5か所しかありません。5か所すべてを、ぜひ頭に入れておきましょう。
- 名前のとおり、地中海沿岸から西アジアにかけての地域
- アメリカ合衆国の西側、カリフォルニアの周辺
- 南アメリカ大陸の西側、チリのサンティアゴ周辺
- アフリカ大陸の先端、南アフリカ共和国のケープタウン周辺
- オーストラリア南部、パースの周辺

夏のバカンスと白壁の街並み
Cs気候の地域では、夏に晴れの日が続きます。そのため、特に地中海沿岸は、夏休みのバカンスを過ごす保養地としても人気があります。例えば、エーゲ海にあるミコノス島は世界有数のリゾート地です。強い日差しを防ぐため、石灰岩を塗った美しい白壁の建物が並ぶことでも有名です。

硬葉樹林と乾燥に強い作物
とはいえ、気温が高くなる夏に雨が降らないと、植物は困ってしまいます。では、Cs気候ではどんな作物が栽培されているのでしょうか。スペイン南部を上空から眺めると、山の斜面一面に木が生えているように見えますが、実はこれはオリーブ畑です。
オリーブは夏の乾燥に耐えられるように、小さくて硬い葉を持っています。オリーブは、Cs気候の植生である硬葉樹林の代表的な樹種です。

オリーブに加え、同じく硬葉樹林であるコルクガシなども、Cs気候では栽培されています。ほかにも乾燥に強い作物として、オレンジやレモンなどの柑橘類や、ブドウの栽培も盛んです。そして、ブドウから作られるワインの生産国の上位には、地中海の国々が並んでいます。

高校生のみなさんはまだ飲めませんが、スーパーのワイン売り場には、フランスやスペイン、イタリアなどのワインが並んでいます。それに加えて、カリフォルニアや南アフリカ共和国、チリなどのワインも数多く置かれています。こうした国々でもワインの生産が盛んな背景には、地中海性気候の特徴があるのです。
小麦を主食とする食文化
地中海沿岸の食事といえば、ワインに加えて、パスタやパンなど小麦を原料にした食べ物が多くあります。米は夏場に大量の水が必要になるため、地中海性気候には不向きな作物です。代わりに、米よりも乾燥や低温に強く、冬の雨で栽培できる小麦が、地中海の主食となってきました。
コルク栓のワインを飲みながら、パンにオリーブオイルをつけて食べるような食事は、地中海性気候の特徴が色濃く反映された食文化です。

地中海性気候の雨温図
最後に、地中海性気候の雨温図を確かめましょう。ローマとパースの雨温図は、ぱっと見の形は違いますが、どちらも地中海性気候の雨温図です。

ローマは、夏に乾燥していることが分かりやすい雨温図です。一方、パースは南半球の都市なので、季節が逆になることに注意してください。12月から2月ごろの気温が高くなっている時期を夏と考えれば、どちらも「夏に乾燥」という条件に当てはまるため、地中海性気候となります。

パースの雨温図は山と谷が逆の形なので、最初は別の気候だと思いました。

形に惑わされず、まず気温の高い時期を探すのがコツ。そこが乾いていれば、Cs気候だと判断できるよ。
温暖冬季少雨気候(Cw)
温帯の2つ目は、冬に乾燥する温暖冬季少雨気候(Cw)です。C気候の中では最も緯度が低い場所に見られる気候で、主な分布は東南アジアからインドのやや内陸に入ったあたりです。
この一帯は、季節風の影響を強く受けます。夏には海からの季節風で降水量が多くなり、冬には大陸からの季節風で冷たく乾燥します。
夏に雨が集中する雨温図
Cw気候の雨温図の例を確かめると、暖かく湿った季節風の影響で、夏の雨が非常に多くなっています。そのため、Cw気候は「冬に乾燥する気候」というよりも、「夏の雨がとても多い気候」ととらえるとよいでしょう。

標高が高い場所のCw
なお、アフリカや中南米にもCw気候が分布していますが、これらは基本的にはAw気候の続きだと考えてください。アフリカの南部やエチオピア周辺、メキシコやアンデス山脈周辺などは、平地であればAw気候になるような緯度にあります。しかし、標高が高い位置にあるために気温が下がり、Aw気候ではなくCw気候になっているのです。

米の二期作と茶の栽培
Cw気候は、植物が成長する夏に雨が多いため、農業に向いている気候です。アジアではこの雨を生かして、米を年に2回収穫する二期作が行われている地域もあります。
さらに、Cw気候は「茶の気候」とも呼ばれるほど、茶の栽培が盛んです。気温の高い生育期には雨が多く、摘み取る時期には乾燥するという気候が、茶の性質に合っているのです。世界的な茶の産地であるインドのアッサム地方やダージリン地方は、ちょうどCw気候に位置しています。

Cw気候の植生(照葉樹林)
Cw気候の植生は、照葉樹林と呼ばれます。夏の雨と冬の乾燥に耐えるため、葉がテカテカしている植物が照葉樹林です。ツバキのほか、シイ、カシ、クスノキなどが照葉樹林の木にあたります。

クスノキは、あの『となりのトトロ』に登場するモコモコとした大きな木、といえば思い浮かぶでしょうか。日本でも西日本を中心に多く見られた樹種です。しかし現在では人工林に変わってしまい、一部の神社やお寺の周りなどを除いて、大規模な照葉樹林は日本にほとんど残っていません。

トトロの大きな木がクスノキだったなんて、知りませんでした。近所の神社にも大きな木があります。

今度その木の葉を見てみて。厚くてテカテカした葉なら、照葉樹林の仲間かもしれないね。
温暖湿潤気候(Cfa)
温帯の3つ目は、年間を通して雨が降り、最暖月平均気温が22℃以上の温暖湿潤気候(Cfa)です。Cfa気候は主に大陸の東側に分布しており、日本も北海道を除くほとんどがCfa気候に属しています。

そのため、日本の自然や暮らしを思い浮かべると、Cfa気候の特徴をつかみやすくなります。夏は海からの季節風で蒸し暑く、冬は大陸からの季節風で寒くなります。春夏秋冬の季節の変化が、最もはっきりしている気候です。
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混合林と褐色森林土
Cfa気候の植生は、混合林もしくは混交林と呼ばれます。本州で近くに山がある地域に住んでいれば、冬でも葉のついている木もあれば、冬には葉の落ちている木もあるでしょう。さらに、葉の細長い針葉樹林もあります。いろいろな木が混ざっているはずです。
このように、冬に葉の落ちる落葉樹、葉の落ちない常緑樹、そして針葉樹林が混ざった森林を、混合林あるいは混交林といいます。日本の多くの地域で見られる植生です。
Cfa気候の土壌は褐色森林土と呼ばれ、その名のとおり、森の地面に形成される褐色の土壌です。温度と水分のバランスがよく、落ち葉も多いCfa気候では、腐植が厚く、肥沃な土壌が形成されます。

西岸海洋性気候(Cfb)
最後の温帯は、年間を通して雨が降り、最暖月平均気温が22℃未満の西岸海洋性気候(Cfb)です。緯度40〜60度ぐらいの大陸西側に位置しており、C気候の中では最も高緯度側に分布しています。ヨーロッパでは、イギリス全土とドイツ、ポーランドの周辺、それからノルウェーの沿岸までを含む大陸西岸がCfb気候です。
高緯度のわりに温暖な理由
緯度を変えずに日本をヨーロッパに重ねてみると、Cfb気候区の多くは北海道よりも高緯度側に位置していることがわかります。北海道は冷帯なので、Cfb気候の広がる大陸西岸は、緯度が高いわりに温暖だといえます。

Cfb気候が高緯度のわりに温暖なのは、北大西洋海流という暖流の上を、1年中偏西風が吹いているためです。暖流の上を通った暖かい空気が運ばれてくるので、冬でもそれほど気温が下がりません。

パリのカフェとテラス席
Cfb気候の暮らしの例として、フランスのパリの街並みを取り上げます。パリには古くからカフェの文化が根付いており、テーブルと椅子を外に置いたテラス席が多く見られます。これも、夏でも涼しく、冬でもそこまで寒くないCfb気候だからこそできることです。

これがCfa気候の日本だったらどうでしょうか。テラス席があっても、真夏のうだるような暑さの中や冷たい冬の風の中では、屋外のカフェはあまり快適とは思えません。

日本の真夏にテラス席でお茶をするのは、たしかにちょっと大変そうです。

気候は、街並みや人の過ごし方にも表れるんだ。旅行先では、外の席の多さにも注目してみよう。
ヨーロッパ以外の分布
ヨーロッパ以外にも、偏西風の影響が強い地域ではCfb気候が分布します。南半球では、チリ南部や、オーストラリア南東部からニュージーランド全域がCfb気候です。また、アラスカの沿岸も、アラスカ海流という暖流の影響でCfb気候になっています。

植生・土壌と農業
Cfb気候の植生と土壌も確認しておきましょう。冬に葉の落ちるブナの木などが植生の代表となるため、土壌はCfa気候と同じく褐色森林土となります。

最後に、Cfb気候の農業についてです。Cfb気候は、夏でも気温がそれほど上がらず、降水量も多くはありません。そのため、夏場の高温と大量の水が必要な稲作には向いていません。
加えて、ヨーロッパの場合は、昔氷河に覆われていたために、やせた土地が多く見られます。そのため、混合農業や酪農といった農業が発達してきました。これらの農業については、農業分野のレッスンで改めて詳しく解説します。
この記事の内容を確認する問題に挑戦して、理解を定着させましょう。全10問・約3分
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